著者
米山 祥平 竹内 康二
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.267-293, 2019 (Released:2019-02-13)
参考文献数
35

本研究では災害ストレスマネジメント教育の学習プログラムをふたつ開発し,小学校におい て実施して,その有効性を検証した。参加児は小学校 5 ・ 6 年生229名であった。ふたつのプロ グラムのうちの一方は第 1 回目の授業で実施し,他方は第 2 回目の授業で実施した。第 1 のプ ログラムではストレス反応の個別の症状を知り,それらを 4 つのグループに分類できるように なることを学習のねらいとした。第 2 のプログラムではストレス対処法を選択し,実行できる ようになることをねらいとした。各授業の前後には,豊沢らの開発した尺度を元に修正を施し た尺度を用いて,質問紙調査を実施した。質問紙は各授業の終了後に回収し,統計的分析にか けた。分析の結果,授業 1 のプレテストとポストテストの間で恐怖感情が有意に増加し,特に プレテストにおいて低~中程度の恐怖感情得点を示した児童において大きく増加することが確 認された。また,授業 2 の後には,自己効力感と反応効果性が有意に増加し,脅威の深刻さが 有意に減少していた。