著者
竹内 康二 園山 繁樹
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.88-100, 2007 (Released:2017-06-28)
被引用文献数
4

これまで様々な自己管理スキルを発達障害児者の問題に適用した研究が行われてきたものの、自己管理の方略を体系的に整理することは十分にはなされていない。そこで本論文では、様々な自己管理スキルを応用行動分析学的観点から体系的に整理し、自己管理を計画、実施、評価、分析、支援するための新たな枠組みとして「自己管理スキル支援システム」を提案することを目的とした。「自己管理スキル支援システム」は、(1)「標的行動の定義」、「弁別刺激の整備」、「自己記録」からなる手続きの段階、(2)「目標やルールの設定」と「自己評価」からなる手続きの段階、(3)「強化子(または弱化子)の選択・準備」と「自己確立操作」、「自己強化(自己弱化)」からなる手続きの段階の3つの段階から構成されるものであり、また競合行動への介入にも焦点を当てるところに特徴がある。この「自己管理スキル支援システム」の利点を「支援付き自己管理」の観点から考察した。
著者
小井田 久実 園山 繁樹 竹内 康二
出版者
日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.120-130, 2004-06-30

PECS(The Picture Exchange Communication System)は、自閉性障害児や発達障害児に対して、自分から始発する機能的なコミュニケーション行動を比較的短期間で教える訓練方法であり、FrostとBondyにより開発された。PECSは拡大・代替コミュニケーションの領域で確立され、その理論的背景には応用行動分析学の原理が組み込まれている。PECSトレーニングマニュアルの初版が1994年に、改訂版が2002年に出版された。PECSでは最初に、欲しい物を表す絵カードを聞き手に手渡して、欲しい物の実物を受け取ることから教え、最終的には、絵カードを用いて文を作ることや、要求行動の一部として色や形などの属性の理解と表現を促すこと、簡単な質問に答えることなどを教える。PECSは、叙述言語行動としての機能よりも先に要求言語行動としての機能を発達させることを強調する。本論文では、PECSの特徴、その具体的手続き、PECSによるコミュニケーション訓練の効果、今後の課題について述べた。
著者
佐々木 かすみ 竹内 康二 野呂 文行
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.49-59, 2008

本研究は(1)演奏スキルの形成、(2)家庭における自己練習、(3)演奏発表から構成されるピアノ指導プログラムを自閉性障害児2名に実施し、その効果を各事例に即して検討することを目的とした。(1)ピアノスキルの形成は、楽譜・鍵盤へのプロンプトの配置による「系列指導」、音楽の随伴プロンプトによる「リズム指導」を行った。その結果、系列は速やかに学習し、リズムの学習は2名で異なった獲得経過を示した。(2)家庭における自己練習は、自己記録および録音により演奏そのものが強化子となり練習が維持された。(3)演奏発表は参加児の社会的強化機会だけではなく、参加児に対する周囲の評価が高まる可能性が示唆された。自閉性障害児においてピアノ演奏が余暇として定着するためには、演奏技術の習得、家庭練習における技術の習熟、発表会での社会的強化の経験を含む包括的なピアノ演奏指導の有効性が検証された。
著者
佐々木 かすみ 竹内 康二 野呂 文行
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.49-59, 2008-05-31 (Released:2017-07-28)

本研究は(1)演奏スキルの形成、(2)家庭における自己練習、(3)演奏発表から構成されるピアノ指導プログラムを自閉性障害児2名に実施し、その効果を各事例に即して検討することを目的とした。(1)ピアノスキルの形成は、楽譜・鍵盤へのプロンプトの配置による「系列指導」、音楽の随伴プロンプトによる「リズム指導」を行った。その結果、系列は速やかに学習し、リズムの学習は2名で異なった獲得経過を示した。(2)家庭における自己練習は、自己記録および録音により演奏そのものが強化子となり練習が維持された。(3)演奏発表は参加児の社会的強化機会だけではなく、参加児に対する周囲の評価が高まる可能性が示唆された。自閉性障害児においてピアノ演奏が余暇として定着するためには、演奏技術の習得、家庭練習における技術の習熟、発表会での社会的強化の経験を含む包括的なピアノ演奏指導の有効性が検証された。
著者
米山 祥平 竹内 康二
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.267-293, 2019 (Released:2019-02-13)
参考文献数
35

本研究では災害ストレスマネジメント教育の学習プログラムをふたつ開発し,小学校におい て実施して,その有効性を検証した。参加児は小学校 5 ・ 6 年生229名であった。ふたつのプロ グラムのうちの一方は第 1 回目の授業で実施し,他方は第 2 回目の授業で実施した。第 1 のプ ログラムではストレス反応の個別の症状を知り,それらを 4 つのグループに分類できるように なることを学習のねらいとした。第 2 のプログラムではストレス対処法を選択し,実行できる ようになることをねらいとした。各授業の前後には,豊沢らの開発した尺度を元に修正を施し た尺度を用いて,質問紙調査を実施した。質問紙は各授業の終了後に回収し,統計的分析にか けた。分析の結果,授業 1 のプレテストとポストテストの間で恐怖感情が有意に増加し,特に プレテストにおいて低~中程度の恐怖感情得点を示した児童において大きく増加することが確 認された。また,授業 2 の後には,自己効力感と反応効果性が有意に増加し,脅威の深刻さが 有意に減少していた。