著者
米川 勉
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第8回大会
巻号頁・発行日
pp.129, 2010 (Released:2010-09-01)

人間が外界から1つの物理刺激を受け取った時、複数の感覚が同時に生じる現象、例えば視覚と聴覚、聴覚と触覚などが混じったり、文字に色がついて見えるといった現象を共感覚という。いわばモダリティ間の混線現象である。その発生原因については、生まれた初期には誰もがそのような状態にあり、成長して感覚機能の分化とともに失われていくとしたものや遺伝的なものが関係する、あるいは脳の機能障害に起因するなど、諸説がある。 本研究は、この現象について確認するために、過去の現象記述から抽出して質問項目を作成し、アンケート調査を行ったものである。対象は女子大生195名。その調査結果について分析して報告する。またその後ケース研究として、共感覚を持つと思われる5名にインタビューして、日常場面で普通感覚の人とどのような点が違い、どのような困難に遭遇するかについて比較検討した。共感覚を持つことのメリットとデメリットについてまとめ、日本における実態の把握に努めたものである。