著者
森 健治 橋本 俊顕 原田 雅史 米田 吉宏 島川 清司 藤井 笑子 山上 貴司 宮崎 雅仁 西條 隆彦 黒田 泰弘
出版者
The Japanese Society of Child Neurology
雑誌
脳と発達 (ISSN:18847668)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.329-335, 2001

自閉症患児29例 (IQ50以上=6例, IQ50未満=23例) および正常小児19例において, 扁桃体~海馬を含む左, 右側頭葉内側部, 左小脳半球の3箇所にてproton magnetic resonancespectroscopy (1H-MRS) を施行し, 代謝物質の濃度を抑制されていない組織水を用いた内部標準法にて測定した.IQ50未満の自閉症患児においては, 扁桃体~海馬を含む左側頭葉内側部および左小脳半球にてN-acetylaspartate濃度が有意に低下していた.これは, これらの部位における神経細胞の減少や発達異常あるいは神経活動の低下を反映していると考えられ, 自閉症で報告されている神経病理学的所見および脳血流SPECTの所見とよく一致していた.1H-MRSは自閉症の病態解明に有用であると考えられる.