著者
ラマハン・アブ・ジャイエット・モハマッド・サリクール 粟田 高明 跡部 紘三 アブズル アワル カーン
出版者
鳴門教育大学
雑誌
鳴門教育大学学校教育研究紀要 (ISSN:18806864)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.113-117, 2005

バングラデシュ人民共和国の中等理科教育における,女子生徒の「理科」に対する忌避傾向の理由を調べるために,バングラデシュの中等学校の生徒および教師に対してアンケート調査を行った。アンケート調査は,グレード9および10(中等学校)の270名の生徒および87名の教師を対象に,選択式および自由記述式の項目を用意して行った。必要に応じて生徒の両親に対しても,インタビュー形式で同様の調査を行った。アンケート調査の結果から,バングラデシュの文化的および社会的な背景が,女子生徒の理科に対する忌避傾向に強く影響していることがわかった。また科学技術分野で活躍する女性の科学者や技術者がバングラデシュに極端に少ないこと,理科を学習する女子生徒に対する十分な家族のサポートが期待できないこともあり,そのようなことが女子生徒の理科に対する意欲を失わせていることが判明した。これらの女子生徒の理科に対する忌避傾向をなくすためには,女子生徒に対する理科の学習意欲の向上,両親達の良心の向上などが不可欠である。また女子生徒に対する奨学金の充実や,関連する科学技術分野への登用などの政策立案も加えて必要である。