著者
石飛 裕 神谷 宏 糸川 浩司
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.69-79, 1993-01-25 (Released:2009-06-12)
参考文献数
15
被引用文献数
12 19

1985年の9月から1986年8月まで,宍道湖および中海の水位を観測した。境水道では潮汐と気圧の影響を受けた水位変動が見られるが,これが,殆ど減衰することなく中海に伝わっていた。ところが,宍道湖では大きく減衰した半日周潮,日周潮と4~8日程度の不定期な周期をもつ長周期変動が見られた。この宍道湖の水位の変動特性を,355日間の時間データを用いたフーリエ解析により,下流の中海および境水道の水位変動と比較検討した。宍道湖で見られる半日周潮,日周潮は境からの伝搬時間が異なるが,これは,潮汐成分によって,中海が高く宍道湖が低い場合,その水位の関係が持続する時間が異なるために起きると推察された。また,流入河川による淡水の供給が小さい時の長周期変動は,境の水位変動の25時間平均値に従うことが明らかになった。毎秒200トンを越える斐伊川出水がある時の長期変動パターンについても議論した。