著者
細井 友裕
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
アフリカレポート (ISSN:09115552)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.73-84, 2020-08-27 (Released:2020-08-27)
参考文献数
27

2017年のジンバブエ政変で下野したロバート・ムガベに比べ、エマーソン・ムナンガグワ大統領に対する関心は低い。2000年代以降、ジンバブエでは「軍人化(Militarisation)」と呼ばれる軍の影響力増加が指摘されている。本稿は、軍を支持基盤とするムナンガグワ派が政権を獲得する過程を整理し、ムガベ政権とムナンガグワ政権の連続性と断裂を検討する。軍を基盤とするパトロン・クライアント関係を通じた政権運営や暴力的性向を勘案すると、両者の間に連続性がみられる。しかし、党内抗争の過程で、ムナンガグワ派の対立派閥が体制から疎外されたため、政権の基盤は縮小している。政権基盤の縮小に加え、政権獲得に伴う軍内部の競合激化は、中長期的なジンバブエの不安定化要因となり得る。