著者
細井 宏朗
出版者
Japan Pharmaceutical Library Association
雑誌
薬学図書館 (ISSN:03862062)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.277-282, 2007

急速に変化し続けた学術文献の世界において, 特に医療分野を含めたSTM(S: Science, T: Technology, M: Medical)の分野においては, 供給から利用者への浸透も含め電子化がほぼ終了したと思える今日において, プラットフォームがいくつも同時に存在する環境になり, 利用者はおろかサービスを提供する図書館にとっても新たな問題に直面しているというのが現実ではないだろうか。利用者により使いやすい環境を作るという目的からも, プラットフォームの提供から, 複数のプラットフォームを統合して検索するツールや相互にリンクするといったプラットフォーム問を効果的に結びつけるツールの導入は, 図書館のトッププライオリティとなっているのが現実だろう。しかし, 電子化による複数のプラットフォームが存在する状態は何も利用者ばかりでなく, 図書館にとっても大きな課題となっている。そのプラットフォームの導入効果を推し量る利用統計の取得については, 導入したプラットフォームの数が多ければ多いほど図書館の負担が大きくなっているといえるのではないだろうか。今回紹介するScholarlyStats(スカラリー・スタッツ)は, これらプラットフォームのUsage Statistics Portal(利用統計を自動的に集約するオンラインツール)である。つまり, 図書館の負担を軽減することを目的に2006年発表および開始された図書館のためのユニークで画期的なツールである。発表と共にたちまち世界の話題となり, "The International Information Industry Awards"において, 世界の図書館界にその年の最も影響を与えた製品に贈られる2006年度"Best Library Product"賞を受賞した。