著者
西園 朋広 井上 昭夫 細田 和男
出版者
森林計画学会
雑誌
森林計画学会誌 (ISSN:09172017)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.16-28, 2013-06-28 (Released:2017-09-01)
被引用文献数
3 1

密度管理図に基づいて収量比数R_yと相対幹距S_rとの関係式を理論的に誘導した。誘導した式に含まれる定数を既存の密度管理図から収集して,R_y-S_r関係の挙動を樹種・地域ごとに調べた。また,現実林での観測データを用いて,誘導した関係が現実の観測結果に合致することを確認した。以上の検討から,次の二点がわかった。(1)一般的にR_yが増加するとS_rは減少し,R_y-S_r関係は非線形の曲線で表される。(2)その曲線は林分の生育段階ごとに変異し,変異の大きさは樹種に依存して異なる。この曲線変異の樹種依存性は,最多密度曲線の傾きが樹種によって異なることが強く関与していると考えられた。誘導した式と定数一覧を用いることで,わが国の多くの地域の主要樹種について,収量比数と相対幹距を容易に相互変換できるようになった。