著者
佐藤 太裕 谷垣 俊行 佐藤 諭佳 島 弘幸 井上 昭夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_25-I_34, 2016 (Released:2017-01-29)
参考文献数
26
被引用文献数
1 5

自然界に生息するタケは中空円筒であり,かつ節と組織構造を有する植物である.これは適者生存の厳しい環境下でできるだけ強く,高く生育するためにタケ自身が進化の過程で獲得してきた形態であり,力学的に極めて高い合理性を有すると考えられる.本研究は,タケの生態を構造力学的に紐解き,節配置の高さ方向分布と維管束の横断面内分布の不均一性が織り成す力学的優位性を実証するものである.この研究により,曲げを受けるタケの節配置による断面偏平抑制効果を剛性に関する異方性を考慮した無次元パラメータにより記述し,タケが外力により生じる曲げモーメント分布に合わせて断面偏平を効率的に抑制していること,また横断面内維管束分布は曲げ剛性を高めるように効果的に配置されていることが初めて理論的に示された.
著者
西園 朋広 井上 昭夫 細田 和男
出版者
森林計画学会
雑誌
森林計画学会誌 (ISSN:09172017)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.16-28, 2013-06-28 (Released:2017-09-01)
被引用文献数
3 1

密度管理図に基づいて収量比数R_yと相対幹距S_rとの関係式を理論的に誘導した。誘導した式に含まれる定数を既存の密度管理図から収集して,R_y-S_r関係の挙動を樹種・地域ごとに調べた。また,現実林での観測データを用いて,誘導した関係が現実の観測結果に合致することを確認した。以上の検討から,次の二点がわかった。(1)一般的にR_yが増加するとS_rは減少し,R_y-S_r関係は非線形の曲線で表される。(2)その曲線は林分の生育段階ごとに変異し,変異の大きさは樹種に依存して異なる。この曲線変異の樹種依存性は,最多密度曲線の傾きが樹種によって異なることが強く関与していると考えられた。誘導した式と定数一覧を用いることで,わが国の多くの地域の主要樹種について,収量比数と相対幹距を容易に相互変換できるようになった。
著者
井上 昭夫 黒川 泰亨
出版者
日本林學會
雑誌
日本林學會誌 = Journal of the Japanese Forestry Society (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.130-134, 2001-05-16
参考文献数
19
被引用文献数
3

針葉樹における二変数材積式を理論的に誘導した。相対幹曲線式としてKunze式を採用した。既存の研究成果に基づいて, 相対高0.7と0.5における正形数&lambda;<SUB>0.7</SUB>と&lambda;<SUB>0.5</SUB>は, それぞれ0.7と1.0で安定していると仮定した。これらの仮定より, 相対幹曲線式の係数を推定する二つの方法を誘導した。これらの方法によって推定される係数は, 互いに等しいと仮定した。その結果, 次の二変数材積式が得られた;v=&pi;d<SUB>b</SUB><SUP>2</SUP>h/4{2(1-h<SUB>b</SUB>/h)}<SUP>1.060</SUP>。ここで, vは幹材積, d<SUB>b</SUB>は胸高直径, hは樹高, h<SUB>b</SUB>は胸高 (=1.2m) である。この材積式をスギとヒノキの資料に適用した。推定された幹材積の標準誤差はスギで0.028m<SUP>3</SUP>, ヒノキで0.025m<SUP>3</SUP>であった。誘導した材積式の仮定と関数形に基づいて, この材積式の特徴について考察した。
著者
中川 昭夫 笠 潮 宮部 洋介 井上 昭夫
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2000, pp.349-350, 2000
被引用文献数
3

Most of caster walkers don't have any brake mechanism. Some of them have hand grip type brake mechanisms but it is not easy for some of the users. For those users, it is desirable if there is a brake system which works only at a time of emergency like an occasion of falling down. Properties of homogeneous ER fluid is ideal because it doesn't show any shear force but it shows a large shear force when a high voltage is applied between a narrow gap but it requires a very small electric current. The caster walker equipped with the ER fluid brake was developed to increase safety of the users.
著者
井上 昭夫 笠 潮 宮部 洋介 中川 昭夫
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2000, pp.281-282, 2000

Properties of homogeneous ER fluid comprised of liquid crystalline polysiloxane (LCS) were described. The fluid shows Newtonian flow in an electric field and far larger ER effect than heterogeneous ER fluids of particles dispersion in oil. ER brake employed the LCS ER fluid was accomplished with many contrivances in the design and set up process for preventing a fluid leak and filling the fluid completely into a narrow electrode gap. The brake showed a large torque (brake power) with very small electric consumption. A caster walker with intelligent ER brake was developed for a practical use.
著者
古荘 純次 小柳 健一 井上 昭夫 武居 直行
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

機能性流体を用いた高性能かつ安全な力覚提示システムに関する研究を行い以下の成果を得た.(1)ER流体ブレーキを冗長個数使用した冗長自由度を持つパッシブ型力覚提示システムを開発し,その制御方式について検討を行なった.パッシブ型力覚提示システムは本質的に安全であり,広範な使用が期待される.(2)ER流体ブレーキを用いた力覚提示システムの新しい制御方式を提案し,力覚提示実験によりその評価を行なった.(3)機能性流体アクチュエータを用いた2次元および3次元の力覚提示システムを開発した.また,その応用例として,上肢のリハビリテーションなどへの適用を行なった.(4)ERアクチュエータにおけるクラッチ入力部の回転速度をできるだけ下げることが,安全性に大きく寄与する.そこで,クラッチ入力部の回転速度をどこまで下げても力覚に違和感が生じないかについて,検討を行なった.(5)開発したERアクチュエータやブレーキを用いて高性能な力覚提示システムを開発するため,ベルト等を用いた伝達機構技術の確立を行なった.(6)ベルト等を用いたシステムでは,2慣性特性を考慮した制御系設計が必要である.本研究では,2慣性系制御について検討を行い,力覚提示システムの制御性能の向上を図った.(7)ワイヤ駆動型の安全性の高い力覚提示システムを開発した.(8)上記で開発したシステムの安全性について検討を行なった.
著者
市原 恒一 陣川 雅樹 山田 健 豊川 勝生 井上 昭夫 小林 洋司
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

間伐を実行して二酸化炭素の吸収量が多い健全な森林を作るため、および集材の際に排出される二酸化炭素量を削減するために、新しいモノレールを開発した。このモノレールは材を積載し斜面を降下する際に発電し、そのエネルギーを空荷で荷積み地点まで戻る際に利用するシステムを有する。このモノレールを用いて化石燃料の消費量が極めて少ない集材を実行し、間伐材を収穫して二酸化炭素の吸収固定量が多い健全な森林を作り、ゼロ・エミッション、すなわち廃棄物を出さない循環型の木材収穫システムの実現を目指した。試作機を用いて電気エネルギーと重力エネルギーの変換効率を測定すると、上りで0.50〜0.68、下りで0.18〜0.33と低い値になり、ゼロ・エミッションを達成することはできなかったが、化石燃料使用量を削減することができた。効率の高い直流モータとバッテリーおよび発電量を増加させるために歯車を入れるなどの改良点を明らかにした。地球環境を改善するために、環境倫理学に基づいた森林の管理法について検討を加えた。間伐材の集材ではコストを押さえることが重要である。このため、モノレールに搭載されたクレーンによる合理的な木寄せ法とモノレールへの積載法、最適複合路網計画法および軌条敷設作業能率などモノレール集材における作業の高能率化について検討した。ここで提案した木寄せ・積載法については、保残木を利用するためアウトリガーが不要で車両の軽量化と木寄せ地点間移動の簡素化を実現した。複合路網とは、急傾斜地ではモノレール、緩傾斜地では林道を敷設するものである。遺伝的アルゴリズムを用いて、敷設と木寄せに関わるコストが最も低い最適路網を求める方法を提案した。敷設作業能率については、軌条勾配と作業能率の関係を明らかにし、急傾斜地における敷設法に関する提案を行った。モノレール導入による、労働負担の軽減について定量的な効果を証明した。