著者
柴田 幸子 西之園 絢子 赤崎 美由紀 細田 悦子 正野 逸子
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.54-60, 2007-05-20 (Released:2016-10-25)
参考文献数
12

本研究の目的は, 人工膝関節全置換術 (以下TKA) 後においてコールドパックを用いたクライオセラピーの有効性を検討するものである。48例48膝を対象とし, 無作為にクライオセラピー実施群 ・ 非実施群に分け, 体表面温度 ・ 出血量 ・ 下肢の腫脹 ・ INR値 ・ 疼痛を計測した。体表面温度と疼痛は, 帰室時 ・ 術後4時間 ・ 10時間 ・ 24時間 ・ 48時間 ・ 72時間に計測し, 出血量と下肢の腫脹は術後 24時間 ・ 48時間 ・ 72時間の計測, INR (プロトロンビン比の国際正常化指数) 値は術前 ・ 術後4日目の測定とした。結果は体表面温度においては実施群の患肢は非実施群よりも1℃程度経時的に低下し有意差が認められた。出血量 ・ INR値においては両群間に有意差は認められず, 腫脹においても大腿周径 ・ 膝関節裂隙周径 ・ 下腿周径それぞれの部位にて有意差は認められなかった. VASを用いた疼痛評価においても有意差は認められなかった. 今回の研究からコールドパックを用いたクライオセラピーではTKA後72時間においては膝内側体表面温度 ・ 出血量 ・ 下肢の腫脹 ・ INR値 ・ 疼痛に対する有効性はないことが示唆された.