著者
寺崎 正治 綱島 啓司 西村 智代
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.43-48, 1999-06-25

本研究においては, 主観的幸福感の構造について検討した, 367人の大学生に対して, 人生に対する満足感質問紙と感情の特性尺度を実施した.その結果, 人生に対する満足感評価は, 「活動的快」感情と正に相関し, 「倦怠」感情とは負に相関した.満足と感情測度の因子分析の結果, 単一の幸福概念が成立することが確認された.主観的な幸福感は人生に対する満足感, 肯定的感情, 否定的感情の部分的には独立している3つの構成要素から成る単一次元であると結論した.
著者
木下 清 島田 修 保野 孝弘 綱島 啓司
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.91-101, 1997

大学生の学校および家庭への適応状況を調べ, 精神的健康度をチェックする目的で, UPIを含む調査表を作成した.実施法としては授業時に配付し, つぎの同じ授業時に回収する方法によった.対象者はJil崎医療福祉大学の1,2年生で有効回収数は604名であった.UPIの訴え数平均値は9.7であったが, この値から訴え数の多い者89名, 少ない者56名を選びそれぞれをH群, L群として, 調査表の他の項目への応答を比較した.家庭生活でH群は両親のしつけや接し方に批判または不満を感じ, それゆえ反抗・批判・無視という態度をとる者が多かった.学校生活でも友が少なく, 友への感情も陰性または両価的であるとともに, 学校そのものにも不満を感じ将来を「暗い」とする者が多かった.つぎに調査表のなかの過去の問題状態にチェックのあった学生325名(P群)とチェックのない学生279名(N群)について, 他の項目への応答を比較したところ, H群とL群の比較に類似の結果が得られた.なおUPIの平均値もP群が高かった.特に家出, いじめられ経験, ノイローゼ, 自殺念慮の項では有意に高い.その他者項目について, 学科別, 学年別, 性別に比較を試みた.一貫して見られた傾向は2年生の方が, 1年生に比べて特に学校生活に不満や不安を多く感じているらしいことであった.学科別の特徴は人数の少ない項目がいくつかあったので省略する.