著者
皆川浩 中村英佑 藤井隆史 綾野克紀
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2019(札幌)
巻号頁・発行日
2019-06-11

新しい材料で実績が少ない場合,現状では浸せき試験や電気泳動試験により,塩害環境下における鋼材腐食の照査に用いる塩化物イオンの見掛けの拡散係数を求めることになる。しかし,これらの試験は実際の環境条件を直接的に考慮した試験方法ではないため,照査結果が過剰に安全側になる可能性がある。本稿では,大気中環境下での曝露試験と浸せき試験によって得られる塩化物イオンの見掛けの拡散係数を比較し,両者の差異の主要因がコンクリート中の含水率にあることを指摘するとともに,照査で用いる塩化物イオンに対する設計拡散係数を求めるために必要となる実環境条件を考慮するための係数を検討した。
著者
能勢幸大郎 橋野哲郎 藤井隆史 綾野克紀
雑誌
コンクリート工学年次大会2023(九州)
巻号頁・発行日
2023-06-16

高炉スラグ細骨材や高炉スラグ微粉末には,コンクリートの凍結融解抵抗性を高める効果がある。本研究では,高炉スラグによる凍結融解抵抗性の改善効果を,モルタル小片を用いた凍結融解試験,細孔径分布およびモルタルからのカルシウムイオンの溶出から検討した。高炉スラグ微粉末を結合材に用いた場合,凍結融解抵抗性を低下させる細孔量が減少し,凍結融解による組織劣化を軽減する細孔量が増加した。これに対し,高炉スラグ細骨材を用いた場合に凍結融解抵抗性が向上するのは,高炉スラグの反応によってモルタルから溶出するカルシウムイオン量が抑制されることが一つの要因であると考えられる。
著者
藤井隆史 丁上 谷口高志 綾野克紀
雑誌
コンクリート工学年次大会2023(九州)
巻号頁・発行日
2023-06-16

本論文では,47種類の粗骨材を用いてコンクリートを作製し,粗骨材の品質がコンクリートの乾燥収縮に与える影響の検討を行った。吸水率の大きい砕石を用いるほど,コンクリートの乾燥収縮ひずみは大きくなる。火成岩や石灰岩の砕石を用いたコンクリートでは,骨材の品質の影響を表す係数αに4を用いた方が,土木学会コンクリート標準示方書の予測式による計算値と実験値の誤差が小さい。ただし,硫酸ナトリウムによる安定性試験における損失質量分率が大きいものは,αに6を用いた方がよい。石灰岩を除く堆積岩では,骨材の品質の影響を表す係数αに6を用いた方が,予測式による計算値と実験値の誤差が小さい。
著者
谷口高志 丁上 藤井隆史 綾野克紀
雑誌
コンクリート工学年次大会2023(九州)
巻号頁・発行日
2023-06-16

本論文では,49種類の粗骨材を用いてコンクリートを作製し,粗骨材の品質および微粒分がコンクリートの凍結融解抵抗性に与える影響の検討を行った。骨材表面に付着する微粒分を完全に除去した状態で用いた場合には,硫酸ナトリウムによる安定性試験における損失質量分率が12%を超える堆積岩の砕石を用いたコンクリートでは,凍結融解抵抗性が低下する傾向が確認された。一方,JIS規格を満足する粗骨材であっても,粗骨材表面に微粒分が付着したままの状態でコンクリートを作製した場合には,凍結融解抵抗性が低下する可能性がある。
著者
田中湧磨 藤井隆史 綾野克紀
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2019(札幌)
巻号頁・発行日
2019-06-11

高炉スラグ細骨材を細骨材の全量に用いたコンクリートは,AE剤を用いることなく高い凍結融解抵抗性を得ることが可能である。ただし,早強ポルトランドセメントを用いた場合には,高炉セメントや普通ポルトランドセメントを用いた場合よりもより長い水中養生を行わなければ,その効果が得られない。しかし,早強ポルトランドセメントを用いた場合にも,結合材の一部に高炉スラグ微粉末を用いることで,凍結融解抵抗性が得られやすくなる。高炉スラグ微粉末を用いると,圧縮強度が小さくなるが,硬化促進剤を用いることで水結合材比を下げることなく,若材齢での強度発現性を高められる。
著者
藤井隆史 綾野克紀
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2018(神戸)
巻号頁・発行日
2018-06-20

本研究では,細骨材の全量に高炉スラグ細骨材を用いたコンクリートの圧縮強度,静弾性係数,引張強度,曲げ強度,乾燥収縮,クリープおよびアルカリシリカ反応抑制効果について,砂岩砕砂を用いたものと比較検討した。高炉スラグ細骨材を用いたコンクリートの静弾性係数は,同じ圧縮強度の砂岩砕砂を用いたものに比べて大きくなるが,引張強度および曲げ強度は,砂岩砕砂を用いたものと同程度である。一方,高炉スラグ細骨材を用いたコンクリートの乾燥収縮およびクリープは,砂岩砕砂を用いたものに比べて小さくなる。また,細骨材に高炉スラグ細骨材を用いれば,粗骨材のアルカリシリカ反応による膨張が抑制される。
著者
山内守 野口光明 藤井隆史 綾野克紀
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2017(仙台)
巻号頁・発行日
2017-06-13

本研究では,高炉スラグ細骨材を用いたコンクリートの凍結融解抵抗性に,蒸気養生,高炉スラグ微粉末および増粘剤が与える影響を検討した。細骨材に高炉スラグ細骨材を用いれば,AE剤を用いることなく高い凍結融解抵抗性が得られるが,製造方法によって高炉スラグ細骨材の効果が異なる。本論文では,普通ポルトランドセメントのみを用いた場合には,蒸気養生によって凍結融解抵抗性が低下し,結合材の一部に高炉スラグ微粉末を用いれば,反対に,蒸気養生によって凍結融解抵抗性が向上することを示した。また,増粘剤を用いることで,短い水中養生期間で高い凍結融解抵抗性が得られることを示した。