- 著者
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小野 朋典
Midorikawa Yoshiyuki
Yamamoto Satoshi
Ujiie Hiroshi
小野 朋典
緑川 義行
山本 聰
氏家 宏
- 出版者
- 琉球大学理学部
- 雑誌
- 琉球大学理学部紀要 (ISSN:02869640)
- 巻号頁・発行日
- no.47, pp.p115-151, 1989-03
- 被引用文献数
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1
本報告は1984年から1987年にかけて実施された琉球大学海洋学科の乗船実習RN-84,-86,及び-87航海で得られた,沖縄本島南方沖,慶良問ギャップ,石垣・西表島周辺海域からの底質サンプルの記載を主目的とする。採取されたサンプルはピストン・コアが8点,グラブ・サンプルが6点, ドレッジ・サンプルが25点に及んだ。記載に先立って行なった予察的研究の結果,次のような点が示唆された。1) 慶良問ギャップ(海裂)では,in situ の島尻層群最上部の泥岩を抜くピストン・コアや,同層群の鮮新銃から最下部更新統部分にわたる泥岩礁を含むドレッジ・サンプルのほかに,浮遊性有孔虫殻を多く含む lime-grainstone (更新統石灰岩?)が採取された.今後の調査で音波探査や深海カメラ等による海底観察と並行した底質サンプリングが行なわれるならば,本海裂の形成運動解明に貢献するであろう。2) 石垣・西表島南方の海溝斜面が先島海段に達する区域の水深2675mの地点より,石灰質砂層と半深海性シルト層の繰り返しから成る turbidite のピストン・コアを採取した。島弧の傾動運動との関連性を,今後追及すべきであろう。そのほかにも,径約5cmに達する大型底性有孔虫・Cycloclybeus carpenteriの生態に関する情報や,西表海底火山が想定されていた位置からの lime-grainstone の採取など,注目すべき材料が得られた。