著者
吉沢 利一 茂垣 貴弘 渡辺 達磨 船崎 貴美子 溜 友香 緒方 裕治 太根 節直
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.1186-1192, 1995-06-15

23歳のステロイド緑内障の症例に,急激な眼圧上昇と弱主経線屈折力にして-5.5Dの片眼性の急性近視が生じた。水晶体厚の有意な増大と浅前房及び硝子体長の延長には,ピロカルピン点眼,D—マンニトールおよびメタゾラミド投与の影響が考えられた。眼圧上昇の著明な右眼に,角膜曲率半径の減少と眼軸長・硝子体長の延長があった。右眼に対する線維柱帯切除術とD—マンニトールおよびメタゾラミドの中止後,眼圧低下とともに近視は約4か月で-0.75Dに回復し,角膜曲率半径は有意に減少した。本症例は抗緑内障薬による近視化に加え,急激に眼圧が上昇した片眼に角膜突出と眼軸長の延長が生じた一過性近視が特徴であった。