著者
繁松 佑哉 河瀬 彰宏
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2020-MUS-126, no.2, pp.1-6, 2020-02-10

本研究は,ヒューマンビートボックス世界大会の予選通過者と敗退者の演奏における楽器と楽曲構成を統計的に比較し,通過者の特徴を明らかにした.通過者と敗退者は共にダンス・ミュージックに見られる同一打楽器音の連続パターンを使用しているものの,通過者は楽器音の構成のなかにベースとメロディの両方を含むパターンを多用する傾向があることが分かった.その一方で,敗退者はベースを含んだパターンのみを多用していることが分かった.また,両者には,基礎打楽器音のハイハットとKスネアの使用傾向に特徴的な差異が見られた.楽曲の構成については,通過者も敗退者も近年のEDMに類似した構成をとることが確認できたが,通過者は音楽性を意識したビートを構成し,敗退者は重低音とオリジナルサウンドを多用していることから,スキル重視のビートを構成する傾向があることが明らかになった.