著者
末田 達彦 纐纈 伸二
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.402-411, 1984-10-25

前報にひきつづき3種の理論的生長曲線, MITSCHERLICH式, Logistic式, GOMPERTZ式をバンクスマツ(Pinus banksiana LAMB.)349個体の胸高半径生長にあてはめ, 各曲線の理論的妥当性, あてはめの難易, あてはまりの良否を検討した。前報のシロトウヒの場合と同様, いずれの理論式も, あてはめによって得られる係数の値と理論から考えて妥当と思われる値の間に食違いを示したが, この矛盾はMITSCHERLICH式においてもっとも穏やかで, Logistic式においてもっとも顕著であった。あてはめの難易, あてはまりの良否についてもMITSCHERLICH式がもっとも優れており, ついでGOMPERTZ式, Logistic式の順となった。以上の結果は前報のシロトウヒの場合とほぼ同じであるが, これは各曲線の特性を反映しているものとみてよい。一部に曲線間の順位に逆転があるが, これは陽樹バンクスマツと陰樹シロトウヒの差異によるものと考えられる。本報および前報の結果を合わせ, 樹幹半径の生長を表わすには, 理論的にも現実的にもMITSCHERLICH式がもっとも優れているという暫定的結論を得た。