著者
鳴海 大典 照井 奈都 羽原 勝也 水野 稔
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.153, pp.1-11, 2009
参考文献数
9

本論文では、ヒートアイランド緩和対策に関する数値目標を設定した際に、各地域の必要大気熱負荷削減量や具体技術の必要投入量を把握することを目的として、大気熱負荷削減ポテンシャルと目標設定の関係について検討を行った。まず、メソスケール気象モデルにより過去回帰から具体的な数値目標を求めた結果、熱帯夜DHの必要低減量は大阪平野部の空間平均で10.7℃・h、人口重み平均で12.5℃・hと算出された。また、必要熱負荷削減量は、大阪平野部全体での一律削減時には空間平均で11.5W/m^2、人口重み平均で12.0W/m^2である一方、熱負荷削減ポテンシャルの大きな都心部を中心に削減を行う地域配分条件では、概ね同量の熱負荷削減で目標を達成することを示した。大阪府内のある市区を対象として、本論文で採り上げた各種ヒートアイランド緩和対策を導入率100%で実施した場合、目標を達成する市区が存在することが示された。
著者
鳴海 大典 下田 吉之 羽原 勝也 水野 稔 近藤 明
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.117, pp.11-19, 2006-12-05
被引用文献数
4

本論文では、3次元の都市熱環境評価モデルを用いて大気熱負荷の排出条件の違いによる拡散性状の相違が地表付近の気温変化に及ぼす影響について感度分析を行い、大気熱負荷の評価に資する基礎データの整備を行った。排出地域の影響を検討した結果、郊外では追加顕熱負荷に対する気温応答が特に大きな値を示した。排出時間の影響を検討した結果、郊外における夜間応答は昼間に比べて最大7倍ほどの違いを生じた。排出量さの影響を検討した結果、排出量と気温変化幅の関係には概ね線形性が確認された。排出高さの影響を検討した結果、排出高さを高層に設定することで気温影響を大きく抑えることが示された。開発やエネルギー消費行動に伴う大気熱負荷の影響評価を行うためには、これらの特性を十分に考慮する必要があると言える。