著者
山本 道法 羽田 良洋 赤木 泰
出版者
Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
雑誌
The Journal of JASTRO (ISSN:10409564)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.125-130, 2000

1979年から1998年までの20年間に当院にて翼状片切除後ストロンチウム90プラークによる術後照射が施行された36人40病変を対象とした. 全例鼻側眼球結膜から発生しており, 21病変は右側, 19病変は左側に認められた. 男性18人, 女性18人年齢は43歳から80歳 (中央値64歳) で, 新鮮例38例, 再発例2例であった. 翼状片切除から術後照射までの間隔は24時間以内が17例, 2日が1例, 4日が3例, 9日が5例, 10日が5例, 11日が4例, 12日, 13日, 21日, 25日, 39日がそれぞれ1例づつであった. 投与総線量はストロンチウム90プラーク表面にて40Gyで, 1985年までは週に1度, 1回線量8Gyで, 治療期間は29日であった. それ以降は, 週に1度, 1回線量10Gyで, 治療期間は22日であった. それぞれ20例づつ施行されていた. 観察期間は再発のため打ち切った症例を除くと, 12ヶ月から180ヶ月 (中央値43ヶ月) であった. 40例のうち5例が再発した. 再発例の5例中4例は5ヶ月以内に再発した. 残りの1例は30ヶ月後に再発がみられた. 全症例の2年局所制御率は90%であった. 年齢, 性別, 新鮮例再発例, 切除から照射までの期間, 総治療期間別の局所制御率を検討したが, 症例数が少ないためいつれも統計学的有意差は認められず, 治療成績に影響を及ぼす予後因子は決定できなかった. 術後照射に伴う重篤な晩期合併症は認められなかった. 翼状片切除後のストロンチウム90プラークによる術後照射は, 再発予防に有用でありかつ安全な治療と考えられた.