著者
羽金 重喜
出版者
北里大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

MTT assayを用いて施工した、各肉腫、癌細胞株の各抗癌剤に関する結果は、以下に示す通りであった。ISO-HAS (血管肉腫)、MO-LAS (リンパ管肉腫)の各抗癌剤におけるIC_<50>値は、CPM (シクロホスファミド) (8).でISO-HAS 8μg/ml. MO-LAS 10mg/ml以上、VCR (ビンクリスチン) (C-7)でISO-HAS 10μg/ml MO-LAS 10μg/ml以上、ADM (アドリアマイシン) (C-17)でISO-HAS 25μg/ml, MO-LAS 0.36μg/ml, DTIC (ダカルバジン) (30)でISO-HAS 700μg/ml MO-LASで500μg/mlであった。(各抗癌剤の末尾数字( )は、通常臨床投与量において得られる最高血中濃度を示す。)また、CPM. VCR, ACM, DTIC, 4薬剤併用時(夫々最高血中濃度に設定)においては、ISO-HASで、75%、MO-LAS 9.4%, M/4-W (メラノーマ) 70.2% Ecca (エクリン癌) 18.3%の生存率であった。MO-LASにおいて、各抗癌剤単独では、殺腫瘍効果が、低かったが、4剤を同時に併用すると、著効を示した点は、極めて興味深い結果であった。またETO (エトポシド) (30)用いた実験では、エトポシド最高血中濃度における各細胞生存率は、次の通りであった。ISO-HAS 40%, MO-LAS 33%, M/4-W 25%, Ecca 16%, ISO-HAS, MO-LASともに細胞生存率は、50%を切っており、エトポシドは、今後、使用価値のある薬剤と考えられた。この事実を踏まえて、現在、ISO-B_1, ISO-S_1 (マウス血管肉腫)を用い、In-Viboで、検討中である。
著者
羽金 重喜
出版者
北里大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1994

1、当科にて保有するいくつかの培養細胞株に対して、培養上清液におけるIL-8の濃度をricommbinat IL-8を用いたRIAにて測定した。結果は以下の通りであった。KTL-1:8400pg/ml TL5:700pg/ml TL2:400pg/mlSCC:2500pg/ml ECCA:3600pg/mlM-1/W:420pg/ml ISO-HAS:1700pg/mlMO-LAS:7300pg/ml(MEM他 培養液+10% FCS<100pg/ml)2、IL-8が各種皮膚腫瘍由来の培養細胞株の増殖にどのような影響を与えるかin vitroの組織培養の系で検討したが一定の検査結果は得られなかった。これは、IL-8の短い活性時間と本来の挿入増殖曲線(cell douling timeなど)との兼ね合いによると思われるが、今後、さらに検討する必要がある。3、また、今回、IL-8の生物活性を抑制するIL-8抗体の入手が困難であったため、IL-8抗体が、各培養細胞株の増殖にどのような影響をあたえるかについては、検討できなかった。4、また、K-TL-1細胞株のモルモットでのin vivo培養における病理組織所見において好酸球が多数浸潤していることによりK-TL-1細胞株でのIL-8を介する白血球の遊送作用は十分考えられたものの技術的な問題もあり、これをBoden chamber法により、in vitroでの好中球遊送能の確認は、残念ながら成功しなかった。5、K-TL-1細胞株においてはIL-8産生量は、IL-1,TNF,IFN-γにより亢進することがほぼ判明した。IL-6ではまだ、一定の実験結果が得られていない。また、各サイトカインを添加してからどの位の時間で産生量がピークに達するのか、これは今後の課題といえる。6、IL-8の産生をm-RNAレベルで検討するためのDNA Probeを用いたinsituhybridizatin法による検索は、今回、研究期間の関係もあり、今回はできなかった。これは今後、是非とも施行したいと考える。