著者
石川 大太郎 湯田 健之 関岡 信一 肥山 浩樹 石黒 悦爾
出版者
養賢堂
雑誌
農業気象 (ISSN:00218588)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.61-68, 2008-06-10
被引用文献数
2 1

近年、地球温暖化等の環境変動により局地的な豪雨が頻発している。鹿児島県においても北部地域で2003年7月20日ならびに2006年7月22日に日雨量350mmを超える記録的な大雨が発生した。これらの局地的豪雨は大規模な斜面崩壊・大小の河川の氾濫などを誘発し、多大の被害や損害をもたらしている。本研究では、斜面崩壊地域予測を目的として、土壌水分の変動を植生の葉内水分変動を用いて簡易に推定する手法の開発を試みた。室内において樹木から摘採した葉の含水率変動と分光反射特性を解析し、衛星データ(現在一般的に用いられており汎用性が高いと考えられるLandsat/TMを対象)、ならびに近赤外域を有しない航空写真について、含水率を推定する指標を考案した。さらに、これらのデータが得られない場合の対応として、簡易にしかも即時的に取得可能な分光画像に対応した分光反射特性を用いた指標の考案を試みた。またこれらの指標を適用した含水率変動率指標(WCF)を提案し、現地調査にて撮影した分光画像及び対象地域を撮影した航空写真を用いて本研究の実用性を検討した。