著者
南 さやか 薮田 伸 富永 克弘 山本 夕菜 中之内 亜紀子 壹岐 香代 石川 大太郎 石黒 悦爾 箱山 晋
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.89, no.4, pp.277-284, 2020-10-05 (Released:2021-05-20)
参考文献数
25
被引用文献数
1

熱帯・亜熱帯に広く適応し高い生産性を持つキャッサバを,バイオマス資源作物として温帯地域へ導入・利用が可能か否かを知るため,2007~2009年にブラジル国育成のデンプン含有率が高い品種 IAC-576-70を鹿児島で圃場栽培し,その生育,乾物生産の推移と収量を調査した.年平均気温18.3℃,年平均降水量2280 mm,冬期に降霜もある鹿児島の気象条件で,栽培可能期間は4月下旬~12月上旬までの7~8ヶ月間に限られた. 3ヵ年間における最大生産量は全乾物重が 1793 g m–2,塊根乾物重が 524 g m–2,生鮮塊根収量が2000 g m–2であり,熱帯地域の植え付け8ヶ月後における収量と同程度の生産であった.
著者
石川 大太郎
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.277-285, 2022 (Released:2022-06-07)
参考文献数
20

近赤外分光法は,800-2500 nm領域付近のスペクトルを利用した分析方法で,非破壊・非侵襲で,あるがまま丸ごとの物質測定がハイスループットに可能であることから,1970年代以降食品分野を中心に発展してきた。脂質分析に対しても,ケモメトリクスとの組み合わせによる高精度な濃度定量法が提案され,魅力的な装置が世に送り出されている。さらに,脂質酸化や状態異常は生体内では悪性疾患の要因になることから,ごく近年では近赤外イメージングと組み合わせた脂質濃度分布の可視化等の応用が検討されている。本稿では,近赤外分光法の基礎と脂質を対象とした装置開発や定量法に加えて,近赤外イメージングの利用など,近赤外分光分野における脂質研究の動向をレビューする。
著者
石川 大太郎 湯田 健之 関岡 信一 肥山 浩樹 石黒 悦爾
出版者
養賢堂
雑誌
農業気象 (ISSN:00218588)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.61-68, 2008-06-10
被引用文献数
2 1

近年、地球温暖化等の環境変動により局地的な豪雨が頻発している。鹿児島県においても北部地域で2003年7月20日ならびに2006年7月22日に日雨量350mmを超える記録的な大雨が発生した。これらの局地的豪雨は大規模な斜面崩壊・大小の河川の氾濫などを誘発し、多大の被害や損害をもたらしている。本研究では、斜面崩壊地域予測を目的として、土壌水分の変動を植生の葉内水分変動を用いて簡易に推定する手法の開発を試みた。室内において樹木から摘採した葉の含水率変動と分光反射特性を解析し、衛星データ(現在一般的に用いられており汎用性が高いと考えられるLandsat/TMを対象)、ならびに近赤外域を有しない航空写真について、含水率を推定する指標を考案した。さらに、これらのデータが得られない場合の対応として、簡易にしかも即時的に取得可能な分光画像に対応した分光反射特性を用いた指標の考案を試みた。またこれらの指標を適用した含水率変動率指標(WCF)を提案し、現地調査にて撮影した分光画像及び対象地域を撮影した航空写真を用いて本研究の実用性を検討した。