著者
吾郷 祐子 廻 京子 脇地 一生 梶原 佑子 今城 沙都 宮井 貴之 後藤 振一郎 井上 勝
出版者
岡山赤十字病院
雑誌
岡山赤十字病院医学雑誌 = The Okayama Red Cross Hospital Journal of Medicine (ISSN:09158073)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.20-24, 2021-11-30

先天性甲状腺機能低下症(Congenital hypothyroidism,以下CH)は,新生児マス・スクリーニングの中で患者数は最多であり,早期介入で身長や知能予後を改善することができる.また,CH は様々な病型が存在し,予後も異なるがその予測は容易ではない.今回我々は,マス・スクリーニングを契機にCH と診断された患者を対象とし,予後について,診療録を用いて後方視的に検討した. 3 歳まで診療継続していた症例では,一過性CH と永続性CHに分類し,精密検査時データや臨床経過を比較検討した.結果は,一過性CH が15人,永続性CH 9 人,一過性高TSH 血症6 人だった.一過性CH と永続性CH では,精密検査時のTSH,大腿骨遠位端骨端核の出現の有無, 3 歳までのレボチロキシン投薬量増量の有無,休薬前の投薬量で有意差を認め,精密検査時のTSH 高値,大腿骨遠位端骨端核の出現無,および加療中に投薬量増量を要した症例は,永続性CH への移行を予測できることが示唆された.