- 著者
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脇坂 聿雄
林 真二
- 出版者
- THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
- 雑誌
- 園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, no.4, pp.345-353, 1966 (Released:2007-07-05)
- 参考文献数
- 14
ナシ花粉の簡単な貯蔵法として, 家庭用電気冷蔵庫を用い, 1年間貯蔵した花粉を供試して, 二十世紀の結実率, 果実肥大, 含有種子数などについて調査した。1. 1962~1965年の4か年にわたり, 1年間電気冷蔵庫で貯蔵した花粉の発芽率をみた結果, 最適条件の場合, 長十郎80.3%, 晩三吉67.4%, 八雲85.0%で, 新鮮花粉に比較して5~10%の低下率であつた。2. 1年間貯蔵した花粉を二十世紀に人工授粉した結果, 発芽率30%以上の花粉であれば, 結実率も80%以上となり, 新鮮花粉区と変わらなかつた。幼果の発育および収穫果重も, 両者の間にほとんど差を認めなかつた。3. 貯蔵花粉でも, 発芽率が30%以上であれば, 含有種子数も平均7個以上となり, 果肉細胞, 糖度, 酸などいずれも新鮮花粉区に劣らず, 実用に供して何ら支障のないことを認めた。4. ナシ花粉の貯蔵上注意すべきことは, 樹勢のよい樹から採花し, 摘花から開葯, 冷蔵庫搬入までの時間を24時間以内とし, 湿度は30~50%, 温度を年間5°Cに保てば, 約70%以上の発芽率をもつた花粉が得られることを確認した。