著者
和田 健太郎 臼井 健人 大口 敬 井料(浅野) 美帆
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.85-96, 2017

本研究は,需要のランダム到着を考慮して,系統信号路線の総遅れ時間の期待値を評価する手法を提案する.この手法は交通流の変分原理(VT)に基づく.需要のランダム到着を考慮したVTでは,交通流ダイナミクスは時空間領域のネットワークにおける確率的な最短経路問題の解として記述されるが,その厳密な求解は困難である.そこで,以下の二つを組み合わせた近似解法を提案する:(i) 最短経路の持つ特性による解(経路)集合の縮小;(ii) Clark近似による多重積分の解析的な評価.モンテカルロ計算との比較を通して,提案手法が精度よく遅れ時間の期待値を計算できることを示す.また,提案手法の有用性を示す応用例として,駒沢通りにおける信号最適化のケース・スタディを示す.