- 著者
-
舩橋 利也
美津島 大
- 出版者
- 横浜市立大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2002
本研究は、申請代表者の「内分泌撹乱物質は、ノン・エストロジェニック中枢作用により、特に前頭葉機能に影響を及ぼし、学習獲得能力を障害する」という仮説を検証するために行った。卵巣摘除成熟ラットに、40mg/kgのビスフェノールA(BPA)、ノニルフェノール(NP)、もしくはオクチルフェノール(OP)を投与して24時間後に、PR mRNA発現量が変化するか否か、ノーザンブロットにより検討した。その結果、前頭葉新皮質ではBPA、NPおよびOP投与によりPR mRNAの発現が有意に増加した。さらに、側頭葉新皮質ではBPAのみがPR mRNAの発現を有意に低下させた。頭頂葉新皮質ではいずれの内分泌撹乱物質も有意な変化を惹起しなかった。BPAの作用の時間経過を検討した結果、前頭葉新皮質のPR mRNA発現はBPA投与6時間後の時点で既に有意に増加し、24時間後の時点でも、発現量は有意に増加していた。エストロジェンもBPAと同様に前頭葉新皮質のPR mRNA発現を有意に増加させたが、その効果は一過性で、24時間後には、もとのレベルまで減少することが明らかとなった。BPAは、後頭葉のPR mRNA発現には影響を及ぼさなかったが、側頭葉では時間経過とともに有意な減少、海馬では24時間後においてのみ有意な増加を惹起した。これらのことから、エストロジェンと異なり、前頭葉新皮質では、内分泌撹乱物質の影響が長期間残存することが、エストロジェン作用との異同であり、また、記憶・学習に関与する海馬に内分泌撹乱物質がなんらかの影響を及ぼすことが明らかとなった。