著者
船田 敏子 内田 徹郎 浜崎 安純 山下 淳 林 潤 貞弘 光章
出版者
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
雑誌
日本血管外科学会雑誌 (ISSN:09186778)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.177-180, 2016 (Released:2016-05-19)
参考文献数
13

要旨:胸腔内型の鎖骨下動脈瘤に対する外科治療は,一般的に鎖骨上アプローチが困難であり,胸骨正中切開が必要になる.今回,冠動脈バイパス術後の右鎖骨下動脈瘤に対してハイブリッド治療を施行し,良好な結果を得た.症例は77 歳男性.以前より指摘されていた右鎖骨下動脈瘤の瘤径増大を認めたため手術の方針となった.CABG 術後で開存した内胸動脈グラフトを有しているため開胸操作を行わず,また,腕頭動脈分岐部に近接した右鎖骨下動脈瘤であったため,開胸操作を行わず,右腋窩-左腋窩バイパス術を行ったのちに右総頸動脈から腕頭動脈にステントグラフトを挿入した.術後造影でエンドリークは認めず,右腋窩-左腋窩動脈バイパスの血流は良好であった.心臓手術後の胸腔内型の右鎖骨下動脈瘤に対して,非解剖学的バイパス術とステントグラフト内挿術を併用したハイブリッド手術は低侵襲であり,有効な治療法と考える.