著者
石田 藍子 芦原 茜 井上 寛暁 松本 光史 田島 清
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.47-54, 2018-02-25 (Released:2018-03-23)
参考文献数
32

授乳期の母豚に,トウモロコシ全量を飼料用玄米と代替した飼料を給与し,母豚および子豚の飼養成績,免疫指標および発情回帰に及ぼす影響を検討した.LW種の雌豚13頭を供試し,トウモロコシを65%配合したトウモロコシ主体飼料を給与する対照区と,玄米主体飼料を給与する玄米区へ振り分け,分娩1日後から21日後の離乳まで試験飼料を給与した.分娩3日および7日後に乳および血液を採取した.その結果,母豚の飼養成績に対照区と玄米区に有意な差はなく,また発情回帰日数および背脂肪厚の変化量にも有意な差はなかった.子豚の増体重にも処理区間に有意な差はなかった.血液成分では,総タンパク質が玄米区で有意に高く,血漿中のIgG濃度が玄米区で有意に高かった.以上より,授乳期の母豚へ飼料中のトウモロコシを玄米と代替した飼料を給与しても,飼養成績および発情回帰に影響がないが,母豚の血中のIgG濃度は増加することが明らかとなった.
著者
石田 藍子 芦原 茜 勝俣 昌也
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.64-72, 2015-06-26 (Released:2015-09-30)
参考文献数
22
被引用文献数
1

我々はこれまでに,飼料用玄米と規格外カンショを配合した飼料を肥育豚に給与することを想定して飼養試験をおこなってきた。その結果,玄米とカンショを肥育後期豚に併給するときの配合割合は,それぞれ50%程度と20∼25%程度がよいと結論づけている。また,茨城県内ではカンショ加工残さの飼料化がおこなわれている。そこで本実験では,実証試験として,茨城県内の養豚生産者の一般管理下において,飼料用玄米50%とカンショ加工残さ(試験1:干し芋残さ,試験2:芋ようかん残さ)22.5%を配合した飼料を肥育後期豚(体重65 kgから120 kg)へ給与し,飼養成績および肉質に及ぼす影響をトウモロコシ主体の市販飼料と比較して検討した。試験1では,日増体重が飼料用玄米とカンショ加工残さの併給により高くなったが(P<0.05),試験2では差が無かった。背脂肪内層の脂肪酸組成は,試験1および試験2で,飼料用玄米とカンショ加工残さの併給により一価不飽和脂肪酸割合が高くなり,多価不飽和脂肪酸割合は低くなった(P<0.05)。以上の結果より,飼料用米およびカンショ加工残さの併給は,実際の養豚生産者の飼養管理下において,トウモロコシ主体の市販飼料と遜色ない飼養成績を示し,脂肪酸組成に影響を及ぼすことが明らかになった。
著者
勝俣 昌也 芦原 茜 石田 藍子 小林 裕之
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.17-28, 2015-03-05 (Released:2015-06-30)
参考文献数
16
被引用文献数
2 5

玄米でトウモロコシの全量を代替できるか確認すること,玄米とカンショを併給するときの配合割合を検討することを目的として,3つの肥育試験を実施した。実験1では,トウモロコシ(75%配合)の全量を玄米で代替して肥育後期豚に給与したが,日増体量,飼料摂取量,飼料効率ともに影響はなかった。実験2では,玄米の配合割合を3水準(30,52.5,75%)設定し,玄米とカンショの併給が肥育後期豚の飼養成績と肉質におよぼす影響について検討した。日増体量,飼料摂取量に飼料の影響はなかった。飼料効率には飼料が影響する傾向があり(P<0.10),玄米30%配合区が低かったが,ほかの試験区のあいだに差はなかった。1頭あたりの玄米の給与量を増やすために,実験3では肥育前期から玄米(52.5%配合)を給与し,肥育後期は玄米(52.5%配合)とカンショ(22.5%配合)を併給した。肥育前期(30kg∼70kg)と全期間(30∼120kg)をとおしての飼料摂取量は,玄米·カンショ併給区が高く(P<0.05),全期間をとおしての飼料効率は玄米·カンショ併給区で低かった(P<0.05)。しかし,肥育後期には飼料の影響はなかった。実験1,2,3をつうじて,玄米を給与すると皮下脂肪内層の飽和脂肪酸と1価不飽和脂肪酸の割合が高く,多価不飽和脂肪酸の割合が低くなった。とくに,オレイン酸の割合の上昇とリノール酸の割合の低下は,再現性が高かった。実験2では,皮下脂肪内層の融点が玄米の給与で高くなったが,実験1と3では変化しなかった。胸最長筋のドリップロスやせん断力価には,玄米あるいは玄米とカンショの併給の影響はなかった。これらの結果から,トウモロコシの全量を玄米で代替して肥育後期豚に給与しても飼養成績と肉質に問題はなく,玄米とカンショを肥育後期豚に併給するときの配合割合は,それぞれ50%程度と20∼25%程度がよいと結論した。
著者
石田 藍子 芦原 茜 勝俣 昌也
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.64-72, 2015

我々はこれまでに,飼料用玄米と規格外カンショを配合した飼料を肥育豚に給与することを想定して飼養試験をおこなってきた。その結果,玄米とカンショを肥育後期豚に併給するときの配合割合は,それぞれ50%程度と20∼25%程度がよいと結論づけている。また,茨城県内ではカンショ加工残さの飼料化がおこなわれている。そこで本実験では,実証試験として,茨城県内の養豚生産者の一般管理下において,飼料用玄米50%とカンショ加工残さ(試験1:干し芋残さ,試験2:芋ようかん残さ)22.5%を配合した飼料を肥育後期豚(体重65 kgから120 kg)へ給与し,飼養成績および肉質に及ぼす影響をトウモロコシ主体の市販飼料と比較して検討した。試験1では,日増体重が飼料用玄米とカンショ加工残さの併給により高くなったが(P<0.05),試験2では差が無かった。背脂肪内層の脂肪酸組成は,試験1および試験2で,飼料用玄米とカンショ加工残さの併給により一価不飽和脂肪酸割合が高くなり,多価不飽和脂肪酸割合は低くなった(P<0.05)。以上の結果より,飼料用米およびカンショ加工残さの併給は,実際の養豚生産者の飼養管理下において,トウモロコシ主体の市販飼料と遜色ない飼養成績を示し,脂肪酸組成に影響を及ぼすことが明らかになった。