著者
花山 奨 金谷 祐里 安中 武幸
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.I_209-I_214, 2017 (Released:2017-10-14)
参考文献数
15

土壌から田面水へのリン溶出など,田面水と土壌との間の物質移動に影響をおよぼす田面水のpH上昇は,土壌表面上の付着藻類の増殖にともなう光合成活動に依存する.本研究は,土壌中の窒素形態が土壌表面に発生する付着藻類の光合成による田面水のpH変化におよぼす影響を検討した.その結果,15℃において化学肥料を連用した水田の風乾表土に,硝酸カリウムを5gN/m2および10gN/m2添加して作成した疑似水田の田面水のpHは,それぞれ8.1および9.7にまで上昇した.一方,同風乾表土に尿素を5gN/m2および10gN/m2添加した場合,疑似水田の田面水のpHは,それぞれ7.3および7.5にまで上昇した.これらの結果から,アンモニア態窒素より硝酸態窒素が付着藻類の増殖を促し,光合成によるpH上昇に影響をおよぼす可能性が示された.
著者
花山 奨
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究の成果は以下の3点である。1)初期の土壌含水量によって、土壌から田面水へのリン溶出量が異なり、また田面水中の植物プランクトンの増殖に違いが生じた。2)田面水中の水流が、大気―田面水間のガス交換を促進し、藻類の増殖に正の影響をおよぼした。3)巻貝の濾過摂食による緑藻類からの無機態リンの回帰率は、約0.2と低かった。また、巻貝による土壌表面の付着藻類の摂食は無機態リンの回帰を促進し、リン回帰量は巻貝の種類によって違いが生じた。