著者
花岡 和則
出版者
学会出版センタ-
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.9, pp.p603-605, 1979-09
著者
花岡 和則 渡邉 大介 北本 武郎
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

筋ジストロフィー等の難治性筋疾患の治療法を考える上で、筋再生の分子機構を理解する事は非常に重要であるにも関わらず、筋再生の分子メカニズムについては、不明な点が多く残されている。我々は、ホメオボックス型転写因子Lbx1およびNotch受容体の1つであるNotch3が、筋再生を担う幹細胞であるサテライト(筋衛星)細胞で発現していることを発見し、これらの遺伝子が筋再生に重要な機能をもつことを明らかにしてきた。本研究は、これらの遺伝子の作用機構と生理機能をノックアウトマウスを用いて明らかにしたものである。本研究の結果を基盤に新しい視点から筋再生・筋発生のメカニズムを解明し、幹細胞治療への応用の可能性を探ることが可能になった。
著者
花岡 和則 北村 邦夫 内山 孝司
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

1) Lbeホモローグ遺伝子Lbx1の遺伝子ターゲッティングマウスの作出Lbx1タンパク質コード領域をネオマイシン耐性遺伝子に置換したノックアウトベクターを作製し、相同組み換えを利用して胚性幹細胞に導入した。4クローンの相同組換え体細胞株をもとにキメラマウスを作製した。そのうち1クローンにおいて生殖系列への伝達が確認された。現在、このキメラマウスに由来する個体どうしを交配し、Lbx1のホモ変異個体を得る段階に至っている。また、Lbx1の発現解析をしてゆく過程で、マウス後部後脳から神経管での発現に加えて、一部の体節の側方部、すなわち将来の肢芽筋肉を形成する領域に発現していることが判明した。そこで、この領域でのLbx1の機能を解明するためにトランスジェニックマウスによる解析を行った。Myogeninプロモーターの下流にLbxl遺伝子を結合したトランスジェニックベクターを、あらかじめLacZ遺伝子を導入してある胚性幹細胞(以下LacZ胚性幹細胞)のゲノムに組み込んだ。このLacZ胚性幹細胞(合計11クローン)と正常胞胚とでキメラマウスを作出した。このうち一つの細胞株を用いて作成したキメラマウス胚(11.5日)でLbx1の発現部位を解析したところ、肢芽領域以外の筋節にもLbx1の異所的な発現が確認され(10個体中5個体)、さらにキメラマウスの出生後、骨格筋の組織学的解析を行ったところ、X-gal染色によってES細胞由来の細胞が含まれていると確認された前肢骨格筋(2個体中2個体)及び、背筋(3個体中3個体)で、筋組織の萎縮などの明らかな異常が観察された。2) ニワトリLbx1ホモローグ単離の試みニワトリLbx1ホモローグ単離する過程で、相同性のあるcHox11L2が単離できた。胚での発現パターンを解析したところ、神経冠細胞由来のニューロンである脳神経節、脊髄神経節、交感神経節、腸管神経節で発現が確認された。未分化な神経冠細胞では認められなかった。
著者
花岡 和則 内山 孝司
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究では遊走性の筋芽細胞で特異的的に発現しているLbx1ホメオボックス遺伝子を筋組織原基内の本来本遺伝子が発現しない領域でLbx1遺伝子を発現させるため,Lbx1遺伝子にマイオジェニンプロモーターを連結したベクターをES細胞に導入しキメラマウスを作成した。これらのキメラマウスを解析し,以下の知見が得られた。1)Lbx1遺伝子を異所的に発現させても、初期胚における筋形成は正常であることが判明した。この結果から,本遺伝子は、筋芽細胞に四肢への遊走性を付与するようなメカニズムで四肢骨格筋の形成を制御しているのではないと推定される。2)産仔後のキメラマウスにおける四肢骨格筋の組織学的解析を行ったところ、四肢骨格筋組織で,ヒト筋ジストロフィーに見られる症状と酷似した組織崩壊が生じていることが判明した.さらに,このキメラマウスの筋組織では,アポトーシスが高い頻度で生じていることを確認した(ジストロフィンを欠損したミュータントであるmdxマウスの筋組織と同じ程度).これらの特徴的な所見から、このキメラにおいては、筋組織が変性と再生をくりかえしていることが推測された。Lbx1遺伝子は,骨格筋において基底膜とαアクチンをつなぐ細胞骨格関連タンパク質群の発現調節に関与していることがを強く示唆された。