著者
局 博一 花房 真和
出版者
日本マイコトキシン学会
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.129-143, 2016-07-31 (Released:2016-09-06)
参考文献数
78
被引用文献数
2

トリコテセン系カビ毒の毒性をT-2トキシンおよびDONを中心にして述べた.これらのトキシンは急性影響および慢性影響として,生体の形態や機能に対して広範囲の毒性をもたらす.in vitro,in vivo の多くの実験系で濃度・用量依存性の細胞障害や臓器障害が報告されている.アポトーシスが広範囲の器官,細胞系列において観察されており,細胞障害における酸化ストレスの役割が注目されている.近年,トリコテセン系カビ毒によるアポトーシスの発現メカニズムや酸化ストレス障害が詳しく調べられている.アポトーシスを起こす機序として,リボソーム-MAPK(JNK/p38),DNA損傷,デスリセプター/カスパーゼ-8の各経路を介する経路が考えられている.