- 著者
-
花本 沙希
立花 敏
- 出版者
- 林業経済学会
- 雑誌
- 林業経済研究 (ISSN:02851598)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.3, pp.49-58, 2016 (Released:2017-10-10)
- 参考文献数
- 20
国産材利用の拡大に向けて木造住宅をどのような消費者が選択するかを改めて把握する必要がある。大手住宅メーカーも木造住宅商品を扱うが,未だに木造住宅の供給には中小工務店が重要な位置を占める。本研究では,1980年頃より産直住宅供給業に取り組む中規模工務店を対象に聞き取り調査とアンケート調査を行い,産直住宅を選択した消費者の属性と拘りを明らかにすることを目的にした。方法としては,岐阜県加子母のN工務店で2007~2014年に木造住宅を新築した消費者61名からのアンケート調査結果をもとに,クラメールの連関係数を用いた相関分析と重回帰分析を用いて消費者の地域による差および住宅価格と消費者属性の差を分析した。アンケート調査結果として,①中部地域では土地所有があり世帯年収が高くない層による選択が多い,②関西地域では土地購入が多く平均的な広さの住宅を選択する,③関東地域では世帯年収の高い50歳代が多く高価な住宅を選択する傾向がある,④住宅については複数の拘りがあるが,住宅メーカーについての拘りは少ないことがわかった。重回帰分析からは⑤世帯年収1,500万円以上の消費者は建築する住宅価格が高くなることが明らかになった。