著者
芳田 奎
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.116-127, 1976-02-05

近藤効果についての最近数年間の問題点は低温 (T<T_K) において非磁性状態におちこんだ局在スピンの振舞を如何にして数学的に扱うかということであった. この問題に対する一つの発展は Wilson によってもたらされた. 彼はくり込み群の方法に根拠をおき, 数値計算をフルに活用して低温の不純物スピンによる帯磁率, 比熱を計算した. もう一つの発展は Anderson ハミルトニャンに対する非磁性状態から出発する摂動計算により, 低温の不純物スピンの振舞を調べるものである. ここでは後者の理論を紹介しつつ, 局在モーメントという言葉のもつ物理的意義について考える.