著者
芳賀 麻有 丸山 良子
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.34-39, 2010-12-20 (Released:2016-08-25)
参考文献数
14

近年アロマテラピーのリラクセーション効果は注目を集め,緩和ケアや産婦人科など多岐にわたる医療現場での使用が試みられている.これまで香りの自律神経系への影響については,ラベンダーなど西洋由来の芳香を用いた研究が中心であり,日本で身近に親しまれてきた芳香である「香」の自律神経系への影響を報告するものはわずかである. そこで本研究では,古来より用いられてきた「香」である白檀と沈香の影響について,健康女性8名を対象に,血圧,脈拍,心拍変動解析を用いた自律神経活動の評価によって検討した.結果として,白檀,沈香ともに交感神経活動の指標であるLF/HFが香り吸入時から減少傾向を示し,交感神経活動に抑制的に働く鎮静 ・ リラクセーション効果をもつこと,さらにその効果はしばらく持続することが示唆された.血圧,脈拍についは,「香」が及ぼす影響はわずかであり非常に穏やかな刺激であることが示唆された.