著者
山内 一史 望月 悦子 田中 裕二 丸山 良子 石川 稔生
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学看護学部紀要 (ISSN:03877272)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.7-12, 1983-03

3種のインスタントコーヒー(NESCAFE GOLD BLEND DECAFFEINATED, NESCAFE GOLD BLEND及びMAXIM)を用いて,二重盲検法により,暗算の作業量を指標としてカフェインの効果を調べた。結果は次の通りである。(1) NESCAFE GOLD BLEND DECAFFEINATED飲用群を対照群として,NESCAFE GOLD BLEND飲用群,MAXIM飲用群との間で暗算作業量の2群比較を行うと,いずれもカフェインを充分含有していると考えられる後者の飲用群に,作業量の増加がみられた。(2)被験者は,インスタントコーヒー飲用直後にカフェイン含有の有無を推定することは出来なかったが,カフェイン含有インスタントコーヒー飲用群では,暗算作業の能率の向上を主観的に感じている者の多いことが示された。(3)インスタントコーヒーカップ一杯に通常含まれる量の2倍程度のカフェイン飲用では,脈拍数の変化はみられなかった。以上の実験結果から,NESCAFE GOLD BLEND DECAFFEINATED飲用群を対照とした暗算作業実験の作業量の増加は,カフェインの中枢神経興奮作用によるものと考えられ,この実験がカフェインの作用を客観的定量的に調べる手軽な方法として,今後の研究に役立つものと考えられる。
著者
芳賀 麻有 丸山 良子
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.34-39, 2010-12-20 (Released:2016-08-25)
参考文献数
14

近年アロマテラピーのリラクセーション効果は注目を集め,緩和ケアや産婦人科など多岐にわたる医療現場での使用が試みられている.これまで香りの自律神経系への影響については,ラベンダーなど西洋由来の芳香を用いた研究が中心であり,日本で身近に親しまれてきた芳香である「香」の自律神経系への影響を報告するものはわずかである. そこで本研究では,古来より用いられてきた「香」である白檀と沈香の影響について,健康女性8名を対象に,血圧,脈拍,心拍変動解析を用いた自律神経活動の評価によって検討した.結果として,白檀,沈香ともに交感神経活動の指標であるLF/HFが香り吸入時から減少傾向を示し,交感神経活動に抑制的に働く鎮静 ・ リラクセーション効果をもつこと,さらにその効果はしばらく持続することが示唆された.血圧,脈拍についは,「香」が及ぼす影響はわずかであり非常に穏やかな刺激であることが示唆された.
著者
杉山 敏子 丸山 良子 柏倉 栄子 小笠原 サキ子 田多 英興
出版者
東北福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は,看護の諸場面におけるケアの効果を,種々の指標によって多面的に評価するための指標の開発をすることと,同時にさまざまなケアを行うことによって人の身体あるいは心にどのような変化が起こるのかの基礎研究である。看護場面での生理指標として,内因性瞬目の可能性を検討した。また,睡眠と活動量についての相関について検証を行った。内因性瞬目については,乳児から高齢者まで看護の指標となるよう基準値が得られるよう測定を行った。その結果,乳児は平均0~2回/分,成人~高齢者は20回/分前後であった。また,女性の瞬目率は40歳以降になると男性よりも有意に多かった。また,内因性瞬目は近年発達障害の指標としても使用されており,看護の中でも状態の観察の一項目として有用な指標と考えられた。睡眠については,夜間の病棟内の騒音と睡眠の程度について調査を行った。夜間の音の大きさは外科病棟,内科病棟ともに40~47dBで,患者が目覚める原因となる音は大きさよりも,ナースコールや救急車の音であり,非日常的で病院特有な音が原因となっていた。また,患者の日中の活動量と睡眠状態の関連性については,療養高齢者の睡眠は,睡眠時間が長く,睡眠型は良好で,睡眠習慣が規則的である。療養高齢者の睡眠習慣と活動状況には,負の相関がある。療養高齢者の睡眠の質に対する主観的な評価と客観的な評価は異なっていて,客観的には悪いのだが,主観的には良好としている。