著者
芹沢 昭示 功刀 資彰
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

内径20μ、25μ、50μ、80μ、100μのsilica tubeまたはquartz tubeを用いた空気-水系(一部蒸気-水系)気液二相流実験とその可視観察を行った。可視観察では倍率150倍の実体顕微鏡、テレビモニター及び高速ビデオカメラを用い(空間解像度0.4μ)、更に超精密レーザー変位計(空間解像度0.4μ程度)を用いた確認実験も行った。以下は得られた研究成果である。1)100μ径以下の超微細マイクロチャンネルを含むキャピラリー管内気液二相流に共通する流動様式として気泡流、スラグ流、液塊流、リング状液膜流、環状液膜流、噴霧流等を観察した。中でも、リング状液膜流れは本研究によって始めてその存在が観察・報告されたもので、従来の知見にない新しい発見であった。2)微細マイクロ流路内の気液二相流挙動が管内壁の表面状態(汚れや濡れ性)に大きく依存することを明らかにした。特に、物理的、化学的に清浄処理した場合には、幾つもの気体スラグがstem状の気体柱によって焼き鳥状に串刺しされた流れが観察された。これは、従来全く観察例が報告されておらず、本研究ではこれをskewered slug flowと命名した。3)20μ径マイクロチャンネルにおける二相流流動様式遷移を纏めて線図として提案した。4)気液二相流の管断面平均ボイド率及び圧力損失実験結果等を検討し、夫々Ahmandの式及び修正Chisholmで近似できることを示した。5)マイクロ気泡運動に関する数値シミュレーション及び実験観察を行い、気泡間干渉に係わる近距離力と遠距離力を考慮した気泡干渉モデルを提案した。