著者
菅原 哲也 若山 正隆 服部 愛衣
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.24-34, 2020-01-15 (Released:2020-01-27)
参考文献数
29

山形県庄内地域で温室栽培もしくは露地栽培されたメロン果実の主要な栽培品種(アンデス,グレース,クインシー)について,部位(果芯,果肉,果皮)ごとにメタボローム解析を実施した(104種の代謝物を定量分析した).その結果,果芯部位において,総じて代謝物濃度が高く,GABAやAla等のアミノ酸,Trigonelline,Choline,Pyroglutamateといった生理活性成分も他部位と比較して顕著に高い値を示した.生食時の可食部位である果肉部位において,代謝物の品種間差異は,グレースにおいて,Citrullineの含有量,クインシーにおいて,Glu含有量が他品種と比較して有意に高い値を示した.メロン果実加工時に多量に排出され,廃棄されているメロン果芯部位を活用し,メロン果芯エキスを調製した.メロン果芯エキスは,GABAを摂取する上で有望な食品素材と推察された.
著者
若山 正隆
出版者
日本電気泳動学会
雑誌
電気泳動 (ISSN:21892628)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.91-95, 2022 (Released:2022-11-02)
参考文献数
8

様々な物質を一斉に分析するメタボローム解析のうち,極性低分子(アミノ酸類,有機酸類,核酸類)についてはキャピラリー電気泳動質量分析(CE-MS)法がしばしば用いられる.食品・農産物は多種多様であり,分析ターゲットなる極性低分子は呈味性,栄養・機能性等に関与することも多く,品質の維持,向上に重要な役割を持っている.しかしながら多種多様の材料を安定的に測定するには適切な前処理および分析の工夫が必要である.本報では生材料に対して固定溶媒添加および未添加条件下での破砕,および凍結乾燥材料の安定的な破砕および抽出手法を紹介し,さらにCEにおいてキャリーオーバーが少なく,電流降下が少ない試料導入並びに検量性の高い質量分析法を用いたメタボローム手法を紹介する.これらの安定的な分析手法を用いて食品,農産物に対しての品質の維持,向上に貢献できうる実験系の提示と将来像について考察する.