著者
渡邉 仁志 茂木 靖和 三村 晴彦 千村 知博
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.99, no.4, pp.145-149, 2017-08-01 (Released:2017-10-01)
参考文献数
21
被引用文献数
3

育苗時に施用した溶出期間の長い肥料(緩効性肥料)がヒノキ実生苗の初期成長に及ぼす影響を明らかにするため,植栽後2年間の成長と部位ごとの重量変化をコンテナ苗と裸苗とで比較した。コンテナ苗は緩効性肥料(溶出期間700日)を施用し,マルチキャビティコンテナで1年間育成した。植栽時のコンテナ苗は,裸苗より根元直径が小さく,樹高および比較苗高が大きかった。2年間の樹高および根元直径成長量や同期末サイズは,コンテナ苗の方が大きかった。比較苗高の低減はコンテナ苗で大きかった。苗木のT/R 比は苗種間で差がなかったが,部位(葉,幹,枝,根)ごとの乾燥重量の増加はコンテナ苗の方が大きかった。樹高や根元直径の相対成長率は,植栽1年目にはコンテナ苗が優れていたが,植栽2年目にはその優位性が低下した。これらのことから,育苗時に施用した緩効性肥料の影響は時間経過とともに低減するものの,ヒノキ実生苗の植栽後の初期成長の促進に有効であることが示唆された。
著者
横井 秀一 茂木 靖和
出版者
岐阜県森林科学研究所
雑誌
岐阜県森林科学研究所研究報告 (ISSN:13456520)
巻号頁・発行日
no.32, pp.1-14, 2003-03

岐阜県北部で2002年秋に発生した落葉広葉樹の冠雪害の概況を調査した。被害地は岐阜県北部に広く分布し、その中でも北部から西部にかけての範囲に被害の発生が多かった。被害形態は梢端や枝が折れる被害が最も多く、次いで幹折れ被害が多く発生していた。被害は、コナラに最も多く発生していた。致命的な被害である幹折れや根返りが発生したところでは、複数の個体が集団で被害を受けていることがしばしば観察された。これらの冠雪害は、10月下旬から11月上旬にあった3回の降雪、特に11月になってからの2回の降雪で発生したことが気象資料の解析からわかった。この時期には多くの落葉広葉樹が着葉しており、そのことが冠雪害の誘引になったと考えられた。