著者
茅野 宏明
出版者
武庫川女子大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1996

身体障害者に対する余暇教育プログラムの効果を明らかにすることを目的とした本研究は、平成9年5月から兵庫県立総合リハビリテーションセンター、重度身体障害者更生援護施設にて開始。5月中に余暇評価を実施し、ソーシャルワーカーとの協議の結果、7名をメンバーに選出。同年10月に再度余暇評価を実施。その時点で、継続意志なし(2名:現在や今後の余暇生活に不安なし)、退所(1名:8月末退所)、入院(1名)、継続中(2名)、完了(1名)。完了した1名について、2回にわたる余暇評価の差が、余暇に対する自発性(3.63から4.79)と余暇に対する退屈度(2.81から1.31)において、顕著に表れた。数値面だけでなく、実際に自らスポーツ系のクラブに入会し、退所後の継続的な余暇活動の実現を果たしていた。また、継続中の1名は、自分には無理だと思った活動を、同じ障害の人たちが行っているのをビデオを通じて発見し、『がぜん、やる気がでてきたぞ』と文集に書いた。同年10月から、新しいメンバーを6名迎えるとともに、余暇教育プログラムのワークシートを改訂した。平成10年1月時点で、継続中(5名)、長期欠席(1名)。継続中の5名は具体的な余暇活動計画へと進んでいる段階である。余暇教育プログラムを実施して、次の点が明らかになった。(1)現在行っているいないに関わらず、生活地域における活動が実現可能。(2)自分の好きなことを実現するために、自分自身への動機づけが比較的高いレベルで維持。(3)交友関係の広さが余暇生活への不安を減少する傾向。(4)余暇評価とケースワークとが同傾向を提示。今後の課題として、退所を目前にしないメンバー向けのワークシート開発の必要性と余暇教育プログラムの定着に向けてのケースワーク評価を重ねることがあげられる。