著者
岩永 健之 吉村 修 中島 新助 釜田 良介 倉吉 真吾 楠元 正順 倉橋 宏和 廣永 沙織 草場 公平 福満 なぎさ 井上 貴仁 中村 かほり
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.112, 2006

【はじめに】<br>スポーツ活動を行うにあたってスポーツ外傷・障害はつきものである。スポーツ外傷・障害により、治療期間が必要となり競技復帰に対して様々な問題が生じている。当院では、平成15年8月より近隣の小学生から高校生におけるスポーツ選手を対象に障害予防を目的としたスポーツ外来を実施している。今回、当院を受診しているスポーツ選手を対象に実態調査を行った。その結果を踏まえ、今後の当院における地域スポーツ活動へのかかわりについて検討したのでここに報告する。 <br>【対象】<br>平成15年8月から平成18年3月末までに当院に初診来院した学生スポーツ選手、男子228名、女子64名の計292名が行っている競技の中で、競技者の数が20名以上のもの野球(141名/48%)・サッカー(41名14%)・バスケットボール(29名/10%)の計211名を対象とした。<br>【分析方法】<br>単純集計を用いて年代(小学生・中学生・高校生)、スポーツ外傷・障害、競技種目、診断名の関連性を分析・考察した。<br>【結果】<br>1.全体の外傷・障害の発生比率は、障害77%・外傷23%であった。2.年代別の外傷発生比率は、外傷は小学生(16%)→中学生(19%)→高校生(25%)の順に高くなっていた。逆に障害は小学生(84%)→中学生(81%)→高校生(75%)と徐々に低くなっていた。3.競技別の発生比率は、外傷は野球→サッカー→バスケットボールの順に高い。障害はバスケット→サッカー→野球の順に高い。<br>【考察】<br>成長期では骨と筋、腱の長育・幅育は必ずしも一致していない。その為、成長期には筋の発達が骨の急速な伸びに追いつけないため、スポーツ障害を引き起こしやすいと言われている。今回の調査でもそのことが結果として得られた。競技別ではサッカー、バスケットボールでは外傷発生比率が高く、野球では障害の発生比率が高いことがあげられる。そのため、サッカー、バスケットボールでは中学生以降ではテーピング等を予防策として用い、外傷を未然に防いでいく必要がある。野球に関しては、診断名よりover-useによるもの(リトルリーグショルダー、野球肘など)が多いため選手だけでなく監督・ 保護者に向けての指導が必要となると考える。スポーツ外傷・障害別では年代が高くなるにつれ、外傷の発生比率が高くなったことである。これは年代が高くなるにつれスピードのある激しいプレーやボディーコンタクトが多くなってくることが関係していると考える。今後は、年代別の院内外の評価項目の再検討をおこなっていきたい。