著者
吉村 修 濱田 輝一 二宮 省悟 楠元 正順
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1735, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】理学療法士の質の向上には,理学療法学科学生の臨床実習における「教育の質の向上」が重要と考える。そのためには,良い臨床実習指導者(以下,指導者)の特徴を検討する必要があると考えた。以前,我々は指導者に対して指導者の理想像の調査・発表を行った。そこで今回,学生からみた指導者の理想像の把握及び実習経験での変化を把握することを目的とした。【方法】調査期間は,それぞれ2日間を設定。実習前が平成25年7月,実習後が平成26年3月。実習は3週,8週であった。A大学の3年生83名を対象として,任意に回答要請し,質問紙調査を行った。回答方法は無記名で,選択回答もしくは自由記載とした。質問紙の回収後は,回答の信頼性保持の為の社会的望ましさ尺度で,不適切と判断されたものは除外した。自由記載の回答はテキスト形式(.txt)にデータ化し,樋口らの開発したフリーソフトウェア「KH Coder」を利用して,テキストマイニングの手法を用いて,頻出語抽出と階層的クラスター分析を行った。【結果】有効回答は54名であった(65.1%)(男性31名,女性23名)(20.6±0.7歳)。実習前では1033語が抽出された。最頻150語を抽出した結果,「実習」,「教える」,「指導」,「学生」,「考える」,「意見」,「厳しい」,「臨床」が上位8番目(最頻出回数:7以上)までの最頻語であった。クラスター分析(Ward's Method,出現回数7回以上の語を対象)を行った結果,「学生のことを考える」,「厳しく教える」,「意見を聞き,実習指導を行う」の3つのクラスターに分類された。実習後では919語が抽出された。最頻150語を抽出した結果,「実習」,「学生」,「厳しい」,「人」,「考える」,「優しい」,「教える」,「指導」が上位8番目までの最頻語であった。クラスター分析を行った結果,「厳しく,優しい」,「考える実習」,「学生に教える(指導する)ことが出来る」の3つのクラスターに分類された。実習前後の比較では,共通点では「実習」,「学生」,「考える」,「厳しい」,「教える」,「指導」があった。相違点では,実習後に「優しい」が上位にあった。【結論】実習前後の比較では,頻出語抽出・クラスター分析より,実習前は,学生のことを考え,意見を聞いてもらう指導者や厳しさのある指導者,実習後は,学生に教えるといった面と学生に考えさせる実習の視点がある指導者や,厳しさと優しさを兼ね備えた指導者を理想としていると考えられた。より良い理学療法士を育てるためには,適切な指導が出来る指導者の育成が重要である。学生が考える指導者の理想像を把握することは,より良い臨床実習指導を行うことに繋がると考えられ,学生を含めた後進の育成のために重要な事だといえる。
著者
二宮 省悟 濵田 輝一 吉村 修 楠元 正順
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1673, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】我々は,H23年度から臨床実習指導体制の構築の検討を目的に質問紙調査を行い,当学会にて発表してきた。現状は,臨床実習指導経験者(以下,指導者)は自身の学生時代や就職後の体験的・経験的教育を行っていることが把握できた。今回は,指導者を臨床経験年数別に群として区分し,臨床実習指導で「困ったこと」について,どのような意識の違いがあるか比較検討することを目的とする。【方法】調査期間はH25年8月からの8か月間。42施設の理学療法士を対象として任意に回答要請し,質問紙調査を行った。回答方法は無記名で,選択肢質問と自由記載とした。経験年数層に区分し,「困ったこと」について分析した。自由記載の回答はテキスト形式(.txt)にデータ化し,KHCoderを用いてテキストマイニングを行った。分析した内容は,頻出語抽出と階層的クラスター分析及び共起ネットワークの作成とした。さらに多次元尺度構成法(MDS),併合水準(非類似度)による分析を加え,図表化した。【結果】有効回答は479名(臨床経験年数8.5±6.1年)。経験年数層に区分した各群は,A群(0-5年)181名,B群(6-10年)164名,C群(11-15年)80名,D群(16年以上)54名とした。指導に「困った」と回答した者は,A群158名(87.3%),B群150名(91.5%),C群77名(96.3%),D群49名(90.7%)であった。困った内容の第1位は,A群では「指導に自身がない」であった。その他の群では「学生の資質の問題」であり,経験年数層を増すごとに割合が上がった。自由記載では,A群2859語,B群3193語,C群1564語,D群951語が抽出された。データより最頻150語を抽出した結果,A群は「学生(出現回数;55)」,「指導(45)」,「レポート(36)」,「分かる(24)」,「実習(20)」,B群は「学生(50)」,「指導(44)」,「レポート(25)」,「提出(22)」,「分かる(21)」,C群は「指導(30)」,「学生(26)」,「実習(13)」,「レポート(9)」,「分かる(7)」,D群は「指導(20)」,「学生(18)」,「実習(10)」,「分かる(5)」,「レポート(4)」が上位5番目までの最頻語であった。その後,クラスター分析(Ward's methodを使用:経験者A群,B群は出現回数5回以上,C群,D群は出現回数3回以上を対象)を行った。その結果,経験者A群,B群は6つ,C群は5つ,D群は4つのクラスターに分類された。また共起ネットワークからは,全てが「学生」を中心として,各群で特徴的な頻出語との強い繋がりを示し,多次元尺度構成法,併合水準でも相違が認められた。【結論】今回,指導者の指導に際し,「困ったこと」の現状が把握できた。それは,臨床経験年数層によって違う内容である事も判明した。またアンケート結果から,指導者は「困ったこと」の解決のためには,日本理学療法士協会の倫理規程や業務指針を念頭に置き,指導について積極的に研鑽する必要性が示唆された。
著者
濱田 輝一 二宮 省悟 吉村 修 楠元 正順
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【目的】我々は,H23年度から臨床実習指導体制の構築の検討を目的に質問紙調査を行い,当学会にて発表してきた。今回,指導の実態とその認識について,免許取得後5年を基準に,5年以上(以下,経験者)と未満(以下,未熟者)の2群で比較検討したので報告する。【方法】調査期間はH25年8月からの8か月間。42施設の理学療法士を対象として任意に回答要請し,質問紙調査を行った。回答方法は無記名で,選択肢質問と自由記載とした。次いで信頼性保持の為の社会的望ましさ尺度で不適切と判断されたものは除外し,有効回答を抽出し分析した。検討課題は,過去に報告の「指導で困る」の分析から,経験者は「学生の資質」,未熟者「自分自身の指導方法や自信」と相反する視点であることに着目し,1.指導で困った時の相談相手,2.学生の能力把握方法,3.指導時の参考,4.指導時の学生へ合わせるレベルの高さ設定の4項目とし,指導実態の全体像把握を目標とした。【結果】1.回収689名の内,有効回答者449名。2群の内訳は,経験者315名(男208,女107),未熟者134名(男82,女52)。臨床経験年数は経験者10.99±5.76年(平均±S.E.M)。未熟者3.08±0.79年。2.検討課題:得られた結果を経験者(未熟者)で各項目を見ると,1)困ったときの相談相手:2群に差がみられ(P<0.01)選択肢8項目中上位2項目(1,2位)と下位3項目(6~8項目)は同一内容で,残りの3位~5位の3項目で順位に差が出た。つまり,経験者では3位(5位)が養成校教員となった。これは熟練者ほど,学生の問題で困っているからこそ,まず施設内部の上司・先輩で解決を試み,次いで教員に相談する構図が読み取れた。逆に未熟者はどうしようもなくなって教員へ相談する行動と推測できる。また,学生指導で困った時の相談相手で分析すると,経験者は教員への相談が2位であるのに対し,未熟者は6位となる結果(P<0.01)もこれを裏付けた。2)学生の能力把握の方法:2群で差が見られた(P<0.01)。第1位は共に「口頭試問」で約25%。2位と3位は「レポート」,または「検査・治療時の学生の反応」で,2群の順位が逆転した。3)指導時の参考:2群で差がみられ(P<0.05),上位から「就職後の現場」48%(50%),「自分の学生時代」30%(49%),「研修会」18%(10%)。経験者がより研修会を参考とすることが分かった。4)指導時の学生へ合わせるレベルの高さ設定:レベルの高さは2群に差が見られなかった(P>0.05)。高い割合でみると,能力相応53%(52%),時々高いレベル31%(36%),少し低いレベル13%(11%)。一方,学生の能力に合わせた指導をしているか?の回答は,経験者が85%となり,未熟者より約15%と高く,差が見られた(P<0.01)。【考察】結果から,5年以上の経験がある臨床指導者と養成校教員で協議検討し,臨床経験が浅い指導者へのサポートが必要であることが示唆された。
著者
濱田 輝一 二宮 省悟 吉村 修 楠本 正順
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】我々は,より良い臨床実習指導体制の構築の為に,H23年度から臨床実習指導の現状把握を目的に,まず指導者を対象に調査を行い,第48回及び第49回本学術大会にて発表した。今回,対象を学生に置き,実習遂行での障壁の1つと考えられる「ストレス」に着目し実習開始前と終了後で比較検討することを目的とした。【方法】本学3年次生83名を対象とし,調査期間を3つ設定。アパシーは平成25年4月3日から6か日間。実習前調査は平成25年7月17日から翌日まで。実習(8週間)後調査は,平成26年3月12日から翌日まで。方法は,質問紙無記名回答で,選択肢と自由記載の2種。質問紙事前処理として,回答の信頼性保持の為の社会的望ましさ尺度で不適切と判断したものは除外した。その結果,有効回答54名。(男31名,女23名。20.6±0.68歳。)課題は,以下の点とし処理・検討した。1.アパシーとの関係(散布図,スピアマンの積率相関係数)と実習前後での比較:1)自覚ストレス耐性強度(VAS選択肢:0~10),2)ストレス解消の手段個数。2.ストレスピーク時期とその原因,及び対処方法(数と内容をカテゴリーで分析)。【結果】課題1.アパシー総得点との関係では,以下の2項目とも実習前後で関係は見られなかった。1)自覚ストレス耐性強度:実習前(以降,前)r=0.067,実習後(以降,後)r=0.028。前後比較では,ストレス耐性強度:前4.03±2.32,後4.41±2.37。t=0.843,P<0.05。2)ストレス解消の手段個数:前r=0.0670 r=0.35578,後r=0.028。前後比較では,前2.89±1.65,後2.26±1.37,t=2.029,P>0.05。アパシーと自覚ストレス強度の増減:前 r=0.3558,後r=0.054。課題2.ストレスピーク時期と原因(後のみ):1)時期(VAS:max~min,mean・SD);1~8週目,3.98±2.48週目。2)ピーク時のストレスの原因:最頻値順でその因をみると,「感情」要因:18件,23%(内訳:進行・終了の目途,できないこと,焦り・不安,失敗,現場での緊張,メンタルの弱さ,未熟の認識など)。「環境」要因:14件,19%(内訳:生活や施設に慣れない,施設遠い,他)。「課題・レポート」要因:14件,19%(内訳:課題多い,完成の苦労など)。「知識・技術不足」要因:12件,17%(内訳:行動力ない,下手など)。「対人関係」要因:11件,15%(内訳:SV・CVとの関係:8,職員:2,患者:1)。「体力」要因:4件,6%(内訳:睡眠不足,疲労)。3)(1)ストレスの解消方法の個数(max~min,mean・SD):<前>1~8個,2.71±1.51個。<後>0~7個,2.25±1.39個,前後で比較(t検定)すると,t=2.029,P<0.05で,実習前(以降,前)より実習後(以降,後)の方が少ないと言えた。(2)解消方法(実習前は第1位が複数回答から1位のみ74件,後は第1~3位の112件を採用):方法を4つに区分。まず「運動系」解消法(含,発散系)は,スポーツ,飲食,泣くが該当し,その計は前:24件(38.7%),後:36件(32.1%)。「休息系」解消法(含,非効率)系は,睡眠,音楽鑑賞,入浴などの計,前:12件(19.4%),後:38件(33.9%)。「気分転換系」解消法では,該当の歌う・カラオケ,外出・買物などの計,前:16件(16.1%),後:21件(15.2%)。「交流系」解消法は,友人と話す,携帯で長電話などの計,前:10件(16.3%)に対し後:17件(15.2%)であった。【考察】8週間の実習でストレスが最大になるのは,概ね中間期・4週目(mean±SD:1.5~6週)であり,その原因は,学生自身の知識技術不足もさることながら,普段と違った生活・学習環境も学習活動に影響し,実習における焦りや不安など感情的なものが主体となっていることが伺えた。また,その解消方法が心身疲労を発散させる活発な行動から,実習後には心身を休ませる睡眠,入浴などの静的行動に移行したと考えられ,その結果として,実習前より実後の方が解消の方法数が減じたと推測できる。今後も充実した臨床実習教育のあり方について,引き続き検討が必要であろう。【理学療法学研究としての意義】今回の調査より,実習を養成校,実習施設へ繋ぎ,また学習課題に偏らず,円滑で精神的サポートにも配慮した実習が遂行できる様に生活環境も含めた総合的支援の必要性がわかったことから,より良い臨床実習教育システムの構築に結びつける為のstepとして,大変意義がある。
著者
吉村 修 中島 新助 村田 伸
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.G3P2557, 2009

【目的】身だしなみは人の印象を決定する重要な要素である.特に臨床の場では人間関係を良好にする基本的なマナーとして必要とされる.今回、当院の患者及び職員に対し、臨床現場における理学療法士(以下PT)及び実習生(以下PTS)の身だしなみについてのアンケート調査を行ったので報告する.【方法】理学療法施行中の患者36名(男性15名、女性21名、平均年齢59.0歳)、看護スタッフ(看護師・看護助手)141名(男性14名、女性127名、平均年齢34.7歳)、PT・作業療法士・言語聴覚士のリハビリテーションスタッフ(以下リハスタッフ)31名(男性12名、女性19名、平均年齢27.4歳)を対象として、PT及びPTSの身だしなみに関する質問紙調査を無記名方式で行った.対象者に対しては事前に説明をして同意を得た.アンケートの内容は、男女の茶髪、男女の指輪、男女のピアス、男女の香水、女性の化粧、女性のマニキュア、伸びた爪、男性の長髪、無精ひげ、カラーの靴下、白衣の下にカラーのシャツを着ることの15項目からなり、質問は全て「~していてもかまわない.」の文章構成とし、回答は「そう思う」「そう思わない」の2件法で選択してもらった.回答の「そう思う」「そう思わない」をそれぞれ1点、0点と得点化(満点15点)し、合計点を尺度得点としたが、点数が高いほど身だしなみに寛容であることを表す.統計処理には二元配置分散分析を用いて検討し、その後、Scheffeの多重比較検定を行った.なお、統計解析には StatView 5.0 を用い、統計的有意水準を5%とした.【結果】PTに対しての身だしなみ尺度得点の平均±標準偏差は、患者8.0±3.6、リハスタッフ6.7±2.3、看護スタッフ4.6±2.7であった.PTSに対しての身だしなみ尺度得点の平均±標準偏差は、患者7.3±3.7、リハスタッフ3.9±3.0、看護スタッフ3.8±2.9であった.PTの身だしなみに関しては、患者とリハスタッフは、看護スタッフより有意に高い得点をつけていた(p<0.05).PTSに関しては、患者は、看護スタッフとリハスタッフより有意に高い得点をつけていた(p<0.01).【考察】患者は、PT及びPTSに対して寛容な見方をしており、看護スタッフは、両者に対して厳しい見方をしていた.このことから、患者と看護スタッフは、両者を区別せずに、同様な見方をしていると思われた.リハスタッフは、PTに対しては寛容な見方をしているが、PTSに対しては厳しい見方をしていた.このことから、リハスタッフは、PTには、ある程度身だしなみが乱れても良いのではないかと考えているが、PTSには、身だしなみを整える必要があると考えており、PTとPTSを区別した見方をしていると思われた.身だしなみに関して患者、看護スタッフ、リハスタッフの意識の差を認識することが、良好な人間関係の形成に役立てると考える.また、年齢や性別の影響が考えられるので、今後は対象数を増やしそれらの要因を調整した分析が必要と考える.
著者
吉村 修 中島 新助 村田 伸
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.203, 2008

【目的】<BR>身だしなみは、人の印象を決定する重要な要素である。特に臨床の場では、患者や職員との人間関係を良好にする基本的なマナーとして必要とされる。今回、当院の患者及び職員に対し、臨床現場における理学療法士(以下PT)の身だしなみについて、アンケート調査を行ったので報告する。<BR>【対象】<BR>当院において理学療法施行中で、調査に協力可能な患者36名(男性16名、女性20名、平均年齢58.4±16.4歳)、当院に勤務する看護スタッフ(看護師・看護助手)138名(男性14名、女性124名、平均年齢34.6±9.3歳)、当院に勤務するPT・作業療法士・言語聴覚士のリハビリテーションスタッフ(以下リハスタッフ)31名(男性12名、女性19名、平均年齢27.4±4.3歳)である。<BR>【方法】<BR>PTの身だしなみに関する質問紙調査を無記名方式で行った。アンケートの内容は、男女の茶髪、男女の指輪、男女のピアス、男女の香水、女性の化粧、女性のマニキュア、伸びた爪、男性の長髪、男性の無精ひげ、カラーの靴下、白衣の下にカラーのシャツを着ることの15項目からなり、質問は全て「~していてもかまわない。」の文章構成とし、回答は「そう思う」「そう思わない」の2件法で選択してもらった。回答の「そう思う」「そう思わない」をそれぞれ1点、0点と得点化(満点15点)し、合計点を尺度得点としたが、点数が高いほど身だしなみに寛容であることを表す。統計処理には一元配置分散分析を用いて検討し、その後、Scheffeの多重比較検定を行った。なお、統計解析には StatView 5.0 を用い、統計的有意水準を5%とした。<BR>【結果】<BR>患者の身だしなみ尺度得点の平均は8.0±3.6、PTは6.7±2.3、看護スタッフは4.6±2.7であり、看護スタッフが有意に低い得点をつけていた(p<0.05)。項目別として、3者とも肯定的な回答が過半数を超えた項目は「男性の茶髪」「女性の茶髪」「女性の化粧」「カラーの靴下」の4項目であった。また、3者とも否定的な回答が多かったのは、「男性のピアス」「伸びた爪」であった。<BR>【考察及びまとめ】<BR>3者の身だしなみ尺度得点の比較から、PTの身だしなみに関して、看護スタッフが最も厳しい見方をしていることが示された。看護スタッフとリハスタッフの意識には差があり、そのことが職員間の人間関係に悪影響を及ぼさないように、PTは仕事中の身だしなみについて再確認し、良好な関係作りに努める必要があると考える。患者とリハスタッフの意識には差がなかったことから、身だしなみに対するリハスタッフの意識と患者の意識はある程度共通していると考える。但し、患者がPTの身だしなみを寛容に捉えていたのは、治療される側として、遠慮があったのではないかとも考えられる。看護スタッフが他の2群より厳しく捉えていたことや患者の寛容さは、年齢や性別の影響が考えられ、今後は対象例を増やしそれらの要因を調整した分析が必要と考える。
著者
岩永 健之 吉村 修 中島 新助 釜田 良介 倉吉 真吾 楠元 正順 倉橋 宏和 廣永 沙織 草場 公平 福満 なぎさ 井上 貴仁 中村 かほり
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.112, 2006

【はじめに】<br>スポーツ活動を行うにあたってスポーツ外傷・障害はつきものである。スポーツ外傷・障害により、治療期間が必要となり競技復帰に対して様々な問題が生じている。当院では、平成15年8月より近隣の小学生から高校生におけるスポーツ選手を対象に障害予防を目的としたスポーツ外来を実施している。今回、当院を受診しているスポーツ選手を対象に実態調査を行った。その結果を踏まえ、今後の当院における地域スポーツ活動へのかかわりについて検討したのでここに報告する。 <br>【対象】<br>平成15年8月から平成18年3月末までに当院に初診来院した学生スポーツ選手、男子228名、女子64名の計292名が行っている競技の中で、競技者の数が20名以上のもの野球(141名/48%)・サッカー(41名14%)・バスケットボール(29名/10%)の計211名を対象とした。<br>【分析方法】<br>単純集計を用いて年代(小学生・中学生・高校生)、スポーツ外傷・障害、競技種目、診断名の関連性を分析・考察した。<br>【結果】<br>1.全体の外傷・障害の発生比率は、障害77%・外傷23%であった。2.年代別の外傷発生比率は、外傷は小学生(16%)→中学生(19%)→高校生(25%)の順に高くなっていた。逆に障害は小学生(84%)→中学生(81%)→高校生(75%)と徐々に低くなっていた。3.競技別の発生比率は、外傷は野球→サッカー→バスケットボールの順に高い。障害はバスケット→サッカー→野球の順に高い。<br>【考察】<br>成長期では骨と筋、腱の長育・幅育は必ずしも一致していない。その為、成長期には筋の発達が骨の急速な伸びに追いつけないため、スポーツ障害を引き起こしやすいと言われている。今回の調査でもそのことが結果として得られた。競技別ではサッカー、バスケットボールでは外傷発生比率が高く、野球では障害の発生比率が高いことがあげられる。そのため、サッカー、バスケットボールでは中学生以降ではテーピング等を予防策として用い、外傷を未然に防いでいく必要がある。野球に関しては、診断名よりover-useによるもの(リトルリーグショルダー、野球肘など)が多いため選手だけでなく監督・ 保護者に向けての指導が必要となると考える。スポーツ外傷・障害別では年代が高くなるにつれ、外傷の発生比率が高くなったことである。これは年代が高くなるにつれスピードのある激しいプレーやボディーコンタクトが多くなってくることが関係していると考える。今後は、年代別の院内外の評価項目の再検討をおこなっていきたい。
著者
吉村 修 濱田 輝一 二宮 省悟 楠元 正順
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1718, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】理学療法士の卒前教育である臨床実習において,より良い教育には,質の良い臨床実習指導者(以下,指導者と略す)が必要である。指導者の質の向上のためには,良い指導者の特徴を検討する必要があると考えた。そこで今回,指導者が考える指導者の理想像の把握及び臨床経験年数での理想像の違いの有無を目的に調査・分析を行った。【方法】調査期間は平成25年8月から平成26年3月までの8か月間。42施設の理学療法士を対象として任意に回答要請し,質問紙調査を行った。回答方法は無記名で,選択回答もしくは自由記載とした。今回は,41問の設問の中から自由記載により「理想とする指導者像」で得られた回答について調査・分析を行った。質問紙の回収後は,回答の信頼性保持の為の社会的望ましさ尺度で不適切と判断されたものは除外した。自由記載の回答はテキスト形式にデータ化し,樋口らの開発したフリーソフトウェア「KH Coder」を利用して,テキストマイニングの手法を用いて,頻出語抽出と階層的クラスター分析を行った。臨床経験年数を0~5年目(A群),6~10年目(B群),11~15年目(C群),16年目以上(D群)に分類し,臨床経験年数群間での差についてカイ二乗検定を行った。有意水準は1%未満とした。【結果】回収部数は790名,有効回答数は689名(87.2%)であった。その内479名の臨床実習指導の経験者を分析対象とした。全体では,7,660語が抽出された。最頻150語を抽出した結果,「学生」,「指導」,「出来る」,「実習」,「能力」が上位5番目までの最頻語であった。クラスター分析(Ward's Method,出現回数30回以上の語を対象)を行った結果,「臨床の楽しさを伝える」,「能力に合わせた学生指導が出来る」,「患者のことを一緒に考える」の3つのクラスターに分類された。臨床経験年数はA群181名,B群:164名,C群80名,D群54名に分類し,最頻語での差の有無を検討した結果,全ての回答では群間に差が認められた(P<0.01)。しかし,全体での最頻語の上位3語の「学生」「指導」「出来る」のみでは群間に差が認められなかった(P=0.508)。【結論】指導者が考える指導者の理想像を把握しておくことで,より良い指導を行うヒントがあると考える。調査の結果,「臨床の楽しさを伝える指導者」,「能力に合わせた学生指導が出来る指導者」,「患者のことを一緒に考える指導者」が理想像と考えられていた。臨床経験年数による差は,一部では認められなかったが,全体では差が認められたことより,共通性はあるが臨床経験年数による指導の変化が生じる可能性が考えられた。良い指導者の特徴を検討し,理解する事は,より良い理学療法士教育に役立ち,理学療法士の質の向上に繋がると考える。また,臨床経験年数別の差をみることで,指導者の特徴をより詳しく分析する事や指導者教育に繋がるとも考える。
著者
二宮 省悟 濵田 輝一 吉村 修 楠元 正順
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1723, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】我々は,H23年度から臨床実習指導体制の構築の検討を目的に質問紙調査を行い,当学会にて発表してきた。現状は,臨床実習指導経験者(以下,指導者)は自身の学生時代や就職後の体験的・経験的教育を行っていることが把握できた。昨年は,「実習で困ったこと」について臨床経験年数により意識の違いがあるのかを知ることを目的に臨床経験年数を4群に分け,比較検討し発表した。今回は得たデータの全体像を,テキストマイニングを用いて客観的に把握することを目的とする。【方法】調査期間はH25年8月からの8か月間。42施設の理学療法士を対象として任意に回答要請し,質問紙調査を行った。回答方法は無記名で,選択肢質問と自由記載にて「困ったこと」について分析した。自由記載の回答はテキスト形式にデータ化し,KHCoderを用いてテキストマイニングを行った。分析した内容は,頻出語抽出と階層的クラスター分析及び共起ネットワークの作成とした。さらにKruskalの非計量多次元尺度構成法(以下,MDS)による分析を加え,図表化した。【結果】回収部数は790名,有効回答数は689名(87.2%)であった。その内479名(臨床経験年数8.5±6.1年)の臨床実習指導の経験者を分析対象とした。指導に「困った」と回答した者は,434名(90.6%)であった。困った内容の第1位は,「学生の資質の問題」(回答総数に対する%:23.6%),第2位は「指導に自信がない」(20.7%),第3位は「学生の問題がつかみにくい」(18.5%)であった。自由記載では8299語が抽出された。データより最頻150語を抽出した結果,「学生(150)」,「指導(138)」,「レポート(74)」,「分かる(74)」,「実習(59)」,「提出(50)」,「言う(40)」,「理解(34)」,「患者(33)」,「自分(30)」が上位10番目までの最頻語であった。その後,併合水準(非類似度)を算出した上で,階層的クラスター分析(ユークリッド距離によるWard's methodを使用:出現回数15回以上を対象)を行った。その結果,4つのクラスターに分類された。またJaccard係数を算出し,単語間のネットワーク図を描画した共起ネットワーク(サブグラフ検出:媒介)からは,「学生」「指導」「分かる」を中心として,特徴的な頻出語との強い繋がりを示した(Node18,edge60,Density0.392,Min.Jaccard0.05)。さらに抽出語を用いてMDSを行ったところ,幾何的図形により単語の関係性を網羅的に示すことができた。【結論】今回,指導者の指導に際し,「困ったこと」の現状が把握できた。臨床実習指導者の共通の「困ったこと」としては主に「レポート指導」に帰着していることも判明した。このことは従来いわれている問題点と合致するものである。しかし,レポート課題を指導のツールに用いていることが多く,未だに解消できていない現実がある。今後も臨床実習について積極的に分析し,その対応策を考える必要性が示唆された。
著者
二宮 省悟 濵田 輝一 吉村 修 楠元 正順
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1602, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】臨床実習は,卒前教育の中で臨床に向けての基盤・育成を担っている。我々は,より良い臨床実習指導体制の構築の検討の為に,H23年度から臨床実習指導の現状把握を目的に質問紙調査を行い,第48回及び第49回日本理学療法学術大会にて発表してきた。現状は,ほとんどの指導者が教育論を主軸とした教育法を学んでいるわけではなく,自身の学生時代や就職後の体験をベースとした体験的・経験的教育を行っていることが把握できた。今回,臨床実習指導経験者(以下,経験者)ならびに指導未経験者(以下,未経験者)が臨床実習指導をどう受け止めているのか,「実習指導を担当した場合のメリットとデメリット」の観点から比較検討することを目的とする。【方法】調査期間は平成25年8月から平成26年3月までの8か月間。42施設の理学療法士を対象として任意に回答要請し,質問紙調査を行った。回答方法は無記名で,自由記載とした。質問紙の回収後は,回答の信頼性保持の為,社会的望ましさ尺度で不適切と判断されたものは除外した。自由記載に関しては,得た回答をテキスト形式(.txt)にデータ化し,KHCoderを使用してテキストマイニングを行った。経験者と未経験者(実習指導を想定して回答)のメリットおよびデメリットについて頻出語を抽出し,階層的クラスター分析と共起ネットワークの作成により,実習指導についてどのような意識を持つかを分析した。【結果】790名の回答が得られ,有効回答数は689名であった。そのうち指導経験があると回答した484名(男性309名,女性175名,臨床経験年数8.5±6.1年)と未経験の205名(男性130名,女性75名,臨床経験年数2.5±2.0年)を分析対象とした。「実習指導のメリット」について,経験者からは3830語,未経験者からは701語が抽出された。またデータより最頻150語を抽出した結果,経験者は「自分(出現回数;167)」,「勉強(97)」,「自身(80)」,「成長(79)」,「指導(72)」が上位5番目までの最頻語であった。同様に未経験者からは「自分(29)」,「勉強(21)」,「知識(16)」,「指導(10)」,「学生(8)」が抽出された。更に,「実習指導のデメリット」について,経験者からは3017語,未経験者からは476語が抽出された。経験者は「時間(295)」,「業務(93)」,「負担(50)」,「指導(33)」,「増える(32)」が上位5番目までの最頻語であった。同様に未経験者は「時間(46)」,「業務(25)」,「指導(11)」,「自分(11)」,「負担(8)」が抽出された。その後,クラスター分析(Ward's methodを使用:経験者のメリットは出現回数31回以上,未経験者は5回以上。経験者のデメリットは出現回21回以上,未経験者は3回以上を対象)を行った。その結果,経験者のメリットについては,「自分の勉強と成長」,「自己学習」,「学生へ指導する機会」,未経験者については,「自己研鑽」,「自分の知識・技術の復習と成長」,「自分の勉強」の各3つのクラスターに分類された。更に,経験者のデメリットでは,「学生指導」,「仕事が増える」,「時間的制約と業務,患者及び精神面への負担」,未経験者については,「負担が増える」,「業務や指導に自分の時間を費やす」,「支障を来す」の各3つのクラスターに分類された。加えて経験者,未経験者の共起ネットワークからは,指導のメリットについては両者とも「自分」が中心となり「成長」,「勉強」と強い繋がりを示した。指導のデメリットについては両者とも「時間」が中心となり「業務」,「制約」と強い繋がりが示された。【考察】未経験者が学生指導を経験するまでは,「指導のイメージ」が分からない状況の中で,不安を感じる。調査結果より,指導経験前に感じていたことが指導を経験した後も同じメリットやデメリットを感じていることが予想された。また,デメリットの解消には,職場での実習教育に関する話し合いや,教育関連の勉強会や講習会を受講するなどの方策が十分行う必要があることが推測された。今後も充実した臨床実習教育のあり方について,引き続き検討が必要であろう。【理学療法学研究としての意義】未経験者は今後臨床実習指導者になる可能性が高く,指導者としての導入教育が必要となる。今回,経験者や未経験者が感じている臨床実習への意識を把握できたことは興味深く,アンドラゴジーを念頭に置いた,より良い臨床実習教育システムの構築に結びつける為のstepとして,大変意義がある。
著者
織 順一 吉海 拓史 吉村 修一 竹中 佐重美(
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.263-265, 1998-02-25
被引用文献数
2 13

シベリアン・ハスキー犬2頭の3眼が, 検眼鏡検査と超音波断層検査(USG)によって臨床的に第一次硝子体過形成遺残症(PHPV)と診断された。二次性進行性白内障を伴った1眼球においでPHPVの診断的治療のための超音波乳化吸引術を行い, PHPVが確認された。