著者
草田 清章
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.53, pp.57-60, 2006

若者の職業能力蓄積不足・不安定就労の増大は、中・長期的な競争力の低下、社会保障システムの脆弱化など社会不安の増大につながる危険性がある。そこで本報告では、若者の自発的な離職行動を、キャリアの入り口における躓きとして環境要因および個人の内的要因から考察し、個人のチャレンジを支えるためのキャリア保険制度の創設について検討する。今後、組織内における個人の自律性が高まることに伴い人間行動のわずかな変容が、即、業績を左右する可能性がある。人材育成の課題は、単に成果主義を導入し賃金格差を拡大するという制度論の前に、組織と個人との関係に何を基礎とするのが最適かを、いま一度考えることにある。それは、個人の選択と責任を基礎としたチャレンジ・システムの設計とチャレンジを支えるためのセーフティネットの構築(キャリア保険制度の創設)にある。