著者
荒井 稔
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.386-391, 2005-09-30 (Released:2014-11-12)
参考文献数
3

うつ病は, 有病率が3%から8%の一般的な病気であり, 適正な治療を受ければ半年で約80%が寛解する. しかし, 症状は, 心身領域に現れ, 思考の渋滞化, 行動の制止, さまざまな身体症状などがあり, 診断が適正に行われない場合には, 軽快するのに時間がかかることもあり, さらに, 症状のひとつの自殺念慮の結果として自殺が完遂されることもある. 現在, 日本の自殺は, およそ3万3千人におよび, うつ病の診断と治療は, 自殺予防といった観点からも重要である. うつ病の病態生理としては, 脳内のシナプス間隙におけるセロトニンやノルアドレナリンの枯渇と考えられており, これらの神経伝達物質の枯渇を抗うつ薬等で治療することによって, 軽快, 寛解, 完治することを述べた.
著者
荒井 稔
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.455-458, 2004-01-30 (Released:2014-11-12)

睡眠障害と抑うつ症状の有病率は, 低く見積もっても人口の1割から3割であり, 私たちの生活の質に強く影響を及ぼすことは述べるまでもない. 現在の経済状況, 社会状況は高い負担を個人に強いているので, このストレッサーに対して適正に対応し, 睡眠障害や抑うつ症状の出現を予防し, 仮に出現した場合にはどのような対応が適正か, 精神医学的知見を加えて述べた.
著者
荒井 稔
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.17-25, 1998-06-10 (Released:2014-11-18)
参考文献数
2

現在の就業環境としては, 高度情報化・対人関係の希薄さ・仕事の繁忙などの要因が複合して高いストレス状況にあると考えられる. Total Health Promotion Plan (THP) によって就業者の心身の健康が維持・増進されるようになっているが, 心の健康を損なう者も全就業者のおよそ1%存在し, 適正な障害発生の予防および障害への対処が必要である. 小論では, 職場でしばしばみられる精神障害の事例を呈示し, 事例の対応について, 上長・勤労担当者・産業医・産業精神科医・看護職・心理職, および中央労働災害防止協会が養成している心理相談担当者などの役割・連携について検討を加えた.