著者
荒川 尚美 大西 浩之 舛田 勇二
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.173-180, 2007-09-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
9
被引用文献数
12 8

ビデオマイクロスコープは簡便に皮膚表面の拡大画像を取得できる。この皮膚拡大画像からキメ・毛穴の特徴を評価できる解析法を開発した。皮膚拡大画像から画像処理により皮溝・皮丘・毛穴を抽出し, 評価項目「皮溝の太さ」「皮丘の細かさ」「毛穴の大きさ」を定量化した。具体的には皮溝の平均幅を算出することにより皮溝の太さを, 一定面積中の皮丘の数を算出することにより皮丘の細かさを, 毛穴の総面積を算出することにより毛穴の大きさを数値化した。本手法の数値結果を美容技術者による視感評価の評点と比較したところ高い相関が得られた。また本手法を用いてキメ・毛穴の形態と年代, 季節, 皮膚生理との関連性を調べた。年代との関係を調べたところ, 20歳前後でキメが粗くなった。毛穴に関しては各年代の平均値は10-40代において増加した。季節との関係を調べたところ冬季にキメが粗くなり皮溝が太くなった。皮膚生理との関係との関係を調べたところTEWLの値が小さい肌に比べて大きい肌ではキメが粗く, さらに皮脂量が少ない肌に比べて多い肌においてもキメが粗かった。本手法は肌状態の評価やそれに基づく化粧料の開発に有用であると考えられる。