著者
荒木 秀一 石川 信一 佐藤 正二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.133-144, 2007-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
5

本研究の目的は、維持促進を圏指した児童に対する集団社会的スキル訓練(SST)の効果検討であった。54名の児童は維持促進訓練群と標準訓練群の2群に分けられた。2つの群ともに7セッションからなる通常の集団SSTが実施された。加えて、維持促進訓練群では維持の手続きとして、1)スキルの構成要素の掲示、2)朝の会・帰りの会でのワンポイント・セッション、3)保護者への働きかけの3つがなされた。結果、自己評定、教師評定により、両群とも通常の集団SSTに参加することでスキル得点の上昇がみられた。標準談練群においては、集団SST後から3か月フォローアップにかけて得点が減少したのに対して、維持促進訓練群ではフォローアップまで効果が維持されていた。以上のことから、通常の集団SSTはスキルの獲得を促すのに有効であるが、長期的な効果を維持するためには維持の手続きが必要不可欠であることが示唆された。