- 著者
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Hakon Leffler
荒田 洋一郎
- 出版者
- FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
- 雑誌
- Trends in Glycoscience and Glycotechnology (ISSN:09157352)
- 巻号頁・発行日
- vol.9, no.45, pp.9-19, 1997-01-02 (Released:2010-01-05)
- 被引用文献数
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56
74
ガレクチンファミリーに属するタンパク質は、β-ガラクトシドに対して親和性を持ち、一次配列上に保存された領域を持つ。哺乳類ではこれまでに10種類のガレクチンが知られており、他の種では、鳥類、両生類、魚類、線虫、海綿、菌類などでガレクチンが見つかっている。ガレクチンは他のレクチンと違って細胞質に存在する。細胞質からはゴルジ装置を介さない経路で分泌されるが、核や特異的な細胞内部位に移行することもある。細胞外コンパートメントにおけるガレクチンの役割が注目を集めている。β-ガラクトシドを含む複合糖質を架橋することにより、細胞の接着や情報伝達を調節しているらしい。しかし、細胞質や核でも働いている可能性がある。ゴルジ装置を介さないガレクチンの分泌経路自体も非常に興味が持たれるところであるが、ほとんど何もわかっていない。ガレクチンは当初はβ-ガラクトシド結合活性から発見されていたが、一次構造の特徴がわかるようになり、さらに分子生物学的手法が使えるようになったので、これまでとは異なった興味深い方法で発見され始めている。ガレクチン、ガレクチン阻害剤、抗ガレクチン抗体が、癌や炎症性疾患などで治療薬や診断薬として使える日が近い将来来るかもしれない。