- 著者
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菅原 充範
廣田 栄子
- 出版者
- 一般社団法人 日本聴覚医学会
- 雑誌
- AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
- 巻号頁・発行日
- vol.63, no.2, pp.130-139, 2020-04-28 (Released:2020-05-23)
- 参考文献数
- 18
要旨: 全国聴覚特別支援学校の 2~5歳児教師に, 担当幼児の言語発達状況および保護者の指導連携について調査した。99校中64校 (回収率64.6%) の教師258名の回答から聴覚障害幼児984名について検討した。その結果, 軽中等度難聴が28.1%, 高重度難聴71.9%であり, 重度難聴の69.4%で人工内耳を装用し, 75.2%は聴覚口話法と手話法等を併用していた。言語発達状況は, 2歳児では 1 歳未満~1 歳レベル児が69.4%であり, 学齢が上の児ほど4~5歳レベル児の割合が増えたが, 5歳児でも65.5%に留まった。保護者への指導目標は, 1 歳未満~1 歳レベル児の55.3%で2~3歳レベルの課題 (模倣誘導・発話修正) を, 4~5歳レベル児の84.3%に4~5歳レベルの課題 (語彙拡充・語義説明) が設定されていた。児の言語発達水準には, 教師の指導経験, 保護者への適切な目標設定が関与し, 専門性の向上と実践の蓄積, および保護者との連携の重要性が示唆された。