- 著者
-
菅原 幸哉
- 出版者
- 日本マイコトキシン学会
- 雑誌
- マイコトキシン (ISSN:02851466)
- 巻号頁・発行日
- vol.61, no.1, pp.25-30, 2011-01-31 (Released:2011-02-01)
- 参考文献数
- 16
- 被引用文献数
-
3
近年,植物中に共生する微生物「エンドファイト」として,各種の植物から様々な微生物が報告されており,共生の効果による植物の耐虫性の向上や生育促進などが注目されている.中でもイネ科植物に共生するNeotyphodium属の糸状菌(Epichloë属菌の無性世代:エピクロエ・エンドファイト) は,種子伝染で世代を超えて植物中に維持され,宿主植物の耐虫性や耐乾性などを向上させることから,農業への利用が進められている.家畜毒性を持つ菌株も多いことから利用は当初,芝草などの緑化植物に限られていたが,近年,家畜毒性のない菌株を選抜しての牧草での利用が成功し,利用範囲が大きく拡大した.食用作物への利用も視野に入りつつあり,今後の関連研究が注目される.