著者
松島 三児 石黒 繁夫 菅原 志朗
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.1027-1035, 1980

黄色種,オリエント葉およびバーレー種の各葉たばこの精油について内容成分の検索および香気関与成分の検討を行った.その結果,<br> (1)黄色種葉たばこの精油香気の基調となる油臭の発現には,リノレン酸およびリノール酸が,甘い匂いの発現にはソラノンおよびメガスティグマトリエンが,焦臭の発現にはフルフリルアルコールが,それぞれ寄与しているものと思われた.<br> (2)オリエント葉たばこ精油香気の基調となる汗臭の発現には&beta;-メチル吉草酸が,油臭の発現にはリノレン酸およびリノール酸がそれぞれ寄与しているものと思われた.<br> (3)バーレー種葉たばこの精油香気関与成分については,今回明らかにすることができなかった.
著者
鏑木 陽一 菅原 志朗 小橋 浦子 土肥 原利子
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.224-231, 1970
被引用文献数
5

窒素気流中および空気気流中において,充てん物をつめない石英管を用いてニコチンおよび各種ピリジン誘導体の熱分解を行ない,つぎの結果を得た.<br> ニコチンを熱分解すると,従来報告されたピリジンの3-位置換体その他以外に, 600~800°Cにおいて2-および4-ピコリンおよびルチジンの全異性体を生成する.各種ピコリン類を700~800°Cにおいて熱分解するとピコリンの全異性体ルチジン類,ピリジン,キノリン,イソキノリン, 2, 2'-ジピリジル等を生ずる.エチルピリジンとビニルピリジンは700~800°Cにおいて熱分解すると相互の変換がおきるとともに,おもに頬応するピコリン類,ピリジンを生ずる.この場合エチル基またはビニル基の置換位置によって生成するキノリンとイソキノリンの割合が異なる.空気気流中700°Cで3-エチルピリジンから3-アセチルピリジンが生成する.3-シアンピリジンは800°Cにおいてピリジン系の中間体をへることなく,直接低分子化合物にまで分解する.<br> 以上の結果からニコチンの熱分解経路について検討し,また,たばこ煙中のピリジン類は3-位以外に置換したものも含めて葉たばこ中のニコチンをそのおもな起源としていることを考察した.