著者
菅原 浩弥
出版者
仙台高等専門学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

【研究目的】本校で行っている社会人向け組込みシステム技術者研修では、基礎的な開発技術修得に加え、地域企業の新分野開拓のきっかけとなることを期待し、様々な研修課題を提案している。この新分野開拓のきっかけとなる研修課題のひとつとして、脳波によってコントロール可能な小型ロボット教材の開発を行った。【研究方法】1.脳波測定システムの特性調査脳波の測定にはEmotiv社のEmotiv EPOC SDK Education Editionを使用した。これは、脳波測定用のヘッドセットとソフトウェア開発キットのセットである。測定用アプリケーションの開発にはMicrosoft Visual C# 2010 Expressを使用した。数名に協力してもらい、平常状態、歯噛み状態、まばたき状態で、脳波にどのような変化があるか測定を行った。2.状態判別と通信プログラムの作成測定した脳波信号から、現在の状態(平常、歯噛み、まばたき)を判別する機能を測定用アプリケーションに追加した。状態の判別は、取得した脳波信号に対して128点FFTを行い、平常時と歯噛み時で大きくスペクトルが変化する周波数のスペクトルが、ある閾値を超えた場合に歯噛みを行ったと判断した。まばたきの検出も同様の方法で行った。小型ロボットとの通信にはZigBeeを用い、状態に応じたシリアル信号("1"など)を送信するようにした。3.小型ロボットのプログラミング小型ロボットには株式会社北斗電子のDONKEYを使用した。DONKEYはMPUとCPLDを搭載し、DCモータによる走行が可能となっている。DONKEYが信号"1"を受信した場合"前進または停止"、"2"を受信した場合"旋回または停止"を行うようにした。【研究成果】「状態の検出」、「制御信号の送信」、「制御信号を受信して動作」という基礎となる部分の開発が終了し、研修で自由課題のひとつとして本教材を紹介した。この時は課題として採用するグループは無かったが、多くの受講生に脳波を使った組込みシステムというものに興味を持ってもらうことが出来た。